我が家のフィリピン人妻はピーナッツパトロール隊の隊長として、日々パトロールと言う名の散歩に出かけ町の治安を守っている。
この日も隊員の私を従えて、自宅からスーパーまでの道中、回り道をしながら治安維持活動を行っていた。
すると並木道に差し掛かった所で、2匹の獣を連れた中年女性が我々の横を通り抜けた。
獣と一触即発の距離になり、歴戦の兵であるピナ隊長の体が強張るのを目にして、一瞬の油断が命取りになる危険なパトロールだと再認識させられる。
獣を連れた女性との距離が開くと、「ビックリしました(゚д゚;)」と興奮気味にピナ隊長は先ほどの出来事を振り返り、すでに10回くらい聞かされた子供の頃に尻を噛まれたエピソードを身振り手振りを交えて話してくる。
「そんな時はこうだ!」と獣と戦闘になった時の対応方法として目潰しを教え、ピナ隊長は「こうデスカ(`・ω・´)シュピピ‼」と目潰しの素振りを行いながらパトロールを継続した。
ちなみにこの目潰しは、隊長の苦手なゾンビ・サメ・ワニ・ネズミ全てに有効な技だと日頃から繰り返し教えている。
目潰しを思い出したピナ隊長は「アコのほうが強いデス(`・ω・´)シュピッ‼」と、獣との距離が離れたのを良いことに強気になっていたけれど、虚勢を張る隊長に試練が待ち受けていた。
少し歩いていると獣使いと獣がベンチに座って休んでいたのだ(笑)
「アイ‥‥‥(゚д゚;)」
視界に獣を捉えた隊長はクルリと体を入れ替え、私に獣側を歩かせようとしてくる。
『自分のほうが強いって言ったじゃねーか(笑)』との思いもあるが、ピナ隊長は隊員である私を試しているのだろう。
街の治安を守るパトロール隊を始末したいのか、行く手を遮るようにピーナッツパトロール隊の前に獣使いが立ちはだかる。
ただ我々も大人しくやられるわけにはいかない。
私はすれ違いざまに獣使いへ先制攻撃を仕掛けた。
「すごく可愛い柴犬ですね」
突然ゴリラ顔のオッサンに話しかけられたマダムは少し驚いた顔をしていたが、愛犬を褒められ満更でもないのか「ありがとうございます。オスだからやんちゃなんですよ(・∀・)」と答えた。
「触ってもいいですか?」と聞くと「どうぞ遊んであげてください」とおっしゃり、2匹の柴犬を撫でくりまわしていると、猛獣と戯れる私を1歩離れてピナ隊長は見守っていた。
私「ピナちゃんもどうだい?」
ピ「クワイ(´・ω・`)」訳:怖い
以前、盲導犬の募金をした時に座っていた犬を触らせてもらって、少しはましになったかと思ったけれど相変わらず犬を怖がる。
柴犬なんて地球上で最も可愛い生き物なのに、なぜ怖いのだろうか。
しかも2匹の柴犬は腹まで見せて「さぁ!撫でてくれ!」と言わんばかりの人懐っこさである。
ピナ隊長はビクビクしながら柴犬と距離を詰めるが、中々手を出すことができない。
「どうやって触ったらいいデスカ(゚д゚;)」と聞いてきたので、手の甲を隊長の鼻先へ出し「こうやって匂いをかがせてみなよ」とレクチャーすると、緊張してパニックなのかスンスンと隊長が匂いを嗅いできた。
「ピナちゃんの手を犬に嗅がせるんだよ(笑)」
ピナ隊長は『食べられたらどうすんだ!』という表情だったが、覚悟を決めたのか「イィィ(((( ;゚д゚)))」と変な声を出しながら手の甲を犬の鼻先へ運ぶと、匂われた後でペロリと手を舐められ「イィィィィ(((( ;゚д゚)))」と固まった。
マダムが笑いをこらえているのが分かった(笑)
柴犬に手の臭いを嗅いでもらえたピナちゃんは、やり遂げた顔でマダムに話しかけた。
ピ「この犬のお尻は良い匂いデス(`・ω・´)」
⁉
『突然このピリピン人は何を言ってんだ』と思ったが、辺りにはほんのりと金木犀(キンモクセイ)の香りが漂っていて、ピナちゃんは犬の尻の匂いと誤解して秋を感じたようだ。
私「ピ、ピナちゃん‥‥‥それ金木犀の香り」
ピ「キンモクセ(‘A`)?」
マダムは笑いを堪えきれなかったのか、手で顔を覆ってプルプルしていた(笑)
これ以上の会話はマダムの腹筋を崩壊させると判断し、マダムと犬に別れを告げスーパーへ向かった。
ピナちゃんは「何であの犬お尻いい匂いデスカ(`・ω・´)?」と不思議がっていたので、「良いエサを食べてるんだろうな」と答え、しばらく夢を見させてあげようと思うのである。
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