同じフィリピンでも都市部と田舎では、コロナウイルスへの対応に違いがある。
田舎に住んでいるママの家には、毎日リアカーを引いて食べ物を売り歩く行商が来るので、食糧を確保をする必要がないのか、生活に余裕すら感じられる。
コロナウイルスでフィリピンも大変だから、食べ物に困ってはいけないと、ピナちゃんのママに「必要な物を買ってね」と臨時の仕送りをした。
後日、送られてきた画像を見ると‥‥‥
写っていたのは、積み上げられた洗剤・石鹸・シャンプーだった(血涙)
— ピナ山太郎 (@pinayamataro) March 26, 2020
所変わってピナちゃんファミリーの本拠地マニラはロックダウンが発令され、田舎の平穏ぶりとは程遠い過酷な状況となっていた。
日頃はやる気のない警察も現在はガチ気味で、下手なことをすれば容赦なく連行されるため、フィリピンに一定の秩序が生まれているようである。
しかし、コロナウイルスを抑え込むために必要な処置とはいえ、ロックダウンを行うことで外出が制限され、仕事を失い、蓄えのない人たちは困窮してしまうのだ。
フィリピンでは上流家庭を除き、宵越しの金は持たない江戸っ子精神が蔓延しており、その日暮らしの家庭は日本の比ではない。
蓄えがなくてもママの住む田舎などは、その辺にバナナをはじめとした植物がいくらでも自生しているため飢えることはないのだけど、マニラのような都市部で蓄えがないご家庭は大変なのである。
ピナちゃんファミリーは大黒柱の叔父さんが、貧しい親族にお金や食べ物を分け与えて凌いでいた。
しかし叔父さんのメイン事業であるトライシクル(バイクタクシー)は、出歩く人が激減したマニラでの営業は困難になり、不動産収入もこんなご時世なので賃料の回収ができていない。
そのため叔父さん一家の収入は、家族で営むサリサリストア(簡易商店)からの僅かなものだけとなっている。
ある程度の蓄えがあるといっても、ロックダウンが長期化すればいずれ底をつくだろう。
私達は心配になって叔父さんに連絡をするのだけど、叔父さんはピナちゃんの日本での生活を気遣って「こっち(フィリピン)の事は心配するな」と言うのである。
先日もピナちゃんが「大丈夫かい?」と連絡を入れると、「バランガイ(町内会に行政機能がついたようなもの)から米の配給があったから大丈夫だよ」と答えていたが、後ろにいる叔母さんの笑顔に元気がないような気がした。
ピナちゃんに「叔母さんに聞いてみなよ」と耳打ちして、叔父さんが席を外した時に本当に大丈夫なのか確認してみると、全く大丈夫ではない事が発覚した。
叔母さんが言うには、配給された米が食べられないほど不味いようである。
しかし食べ物を買う金も尽きそうなので、他の米を少しだけ混ぜて我慢して食べているらしい(涙)
日本で生活していると経験することはないが、フィリピンではとんでもない味の米に出くわすことがある。
何と表現したらよいだろうか、例えるなら米から家畜小屋のワラの味がするのだ(驚)
フィリピン旅行中にローカル食堂で不味い米を提供された時は、「こいつら米の炊き方も知らねーのか!」と憤慨したけれど、後に炊き方以前に米そのものが美味しくないと知り、日本のお米農家の方々に感謝した。
日本育ちの私と違ってフィリピンで生まれ育った叔母さんが、涙ながらに「不味くて食べられない」というクオリティの米は相当な味なのだろう。
これは叔母さんに預けているお金を使う時が来たようだ。
私はピナちゃんのファミリーといえど一族を養う気持ちはない。
ファミリーからの援助要請も緊急の場合を除き、ピナちゃんのママ以外に送金するのは断っている。
しかし叔父さんファミリーは別なのだ。
叔父さんは昔、路上生活(テントや車)をしていたピナちゃんとママに手を差し伸べてくれて、生活を支えてもらった恩がある。
私がピナちゃんと出会えたのも、叔父さんがピナちゃんを助けてくれたお陰である。
感謝の気持ちを当然ピナちゃんも持っていて、フィリピンで暮らしている頃は息子のバブイ君やチビ太の面倒をよく見ていたし、来日してからも気にかけている。
余談ではあるが私も時々バブイ君にエロ本を送っている。
そんな叔父さんと叔母さんに、チャンスがあれば恩返しをしたいと私達は考えているのだけど、叔父さんが腰を痛めて仕事ができなくてピンチの時も、心配して送金しようとしたが「ピナとの生活があるだろ」と、お金の援助は頑なに拒否をする聖人のような性格で、これまで恩返しが出来ずにいた。
ただ私達は心配していた。優しい叔父さんの性格上、ファミリーを助けすぎて一家が窮地に立たされる日がくるかもしれないと。
そこでピナちゃんが里帰りをする度に、まとまった金を「ピナちゃんがフィリピンに滞在するための生活費」として叔母さんに預けていたのだ。
叔母さんも叔父さんに負けずとも劣らない信頼できる方で、こんな窮状でも預けたお金に手をつけていなかった(涙)
ピナちゃんが「あのお金で食べ物を買ってクダサイ(・∀・)」と、本当は自分の生活費ではなくて叔父さん一家への恩返しのつもりで、困った時に使ってもらおうと預けていた事を話すと、「本当に使ってもいいの?」と叔母さんは涙した。
数日後、叔父さんから写真が送られてきた。
無事に食糧を調達できたようである。
そして、ここでも最低限必要なお金しか使わない、叔父さんファミリーの誠実な人柄が垣間見えた。
私の信頼するピナちゃんの叔父さんは勤勉な努力家で裸一貫の何もない所から、現在はサリサリストア(簡易コンビニ)やトライシクル(三輪タクシー)を数台所有するまでになった。ピナちゃんファミリーの稼ぎ頭として日々親族からのヘルプ要請があり、[…]