荒稼ぎをするサラリーマン将棋のプロ棋士ピナちゃん

部屋のリフォームを手伝ってくれている職人の友人が、近頃ニュース等で話題になっている最年少棋士の連勝記録に触発されたのか、ダイソーで将棋セットを購入して持ってきて「おい誰か手合わせするか?」と話しかけてきた。

私を含め周りの友人達は「いや、いいよ。」と、誰も興味を示さなかった所、「せっかく買ったんだから興味持てよ!お?太郎暇そうだな?」と、ジョイントテープの隙間にパテを塗りたくっている最中で、全く暇ではない私に目を付けてきたのである(涙)

 

そもそも対局をしようにも私は将棋のルールを知らないので勝負にならないと思うのだが、このまま粘られて練ったパテが乾燥するのは避けたいので、サクッと相手をしてパテ塗りを手伝ってもらおうと思い勝負を受ける事にした。

私「これどうやって並べるんだよ」

友「いや、知らないから適当でいいよ」

お前も知らねーのかよ(笑)

 

周りにいた友人達に聞いても誰も将棋のルールを知らず、思い返してみれば学生時代から一緒に遊んでいるが、一度も彼らの口から将棋という言葉を聞いた事がない。

将棋はチェスと似たようなものだと玄人っぽい事を言う者もいたが、やはり誰一人としてチェスのルールも知らないのである(涙)

 

仕方がないので、これまで生きていた中で何となく得た知識をもとに駒を並べて、各駒の動きを決めて将棋を知らない者同士による対局が始まった。

戦況は一進一退の攻防だったが、遂に私の駒が友人の王将を捉えた。

私「王手!」※このセリフだけ知ってる。

友「・・・ここで皆さまに発表があります。社長(王将)は引退して二代目社長にはこちらの専務(金)が就任します」

!?

何だよそのルール(笑)

友「王手!」パチン

私「そういう事なら、先ほど引退した先代(王将)に現社長(金)を説得してもらいます」パチン

友「ふむ・・・中々の腕前ですな・・・(渋顔)」

その後もバイトリーダー・支店長・ヘッドハンティング等のオリジナルルールが生み出されて、もはや将棋ではなくなってしまい、パテの乾燥が心配になった私が負けを認めるまで対局は続いた。

 

私との対局に勝利した友人はさらなる高みを目指し、サラリーマン将棋に付き合わされるのが面倒で、誰も目を合わさない他の友人達を見渡し次の獲物を選ぼうとしていた。

そんなタイミングで他の部屋の掃除を終えたピナちゃんがやってきたのである(救世主)

一同「監督!こいつの相手をしてやってよ(懇願)」

ピ「やり方が分かりマセン(´・ω・`)」

私「大丈夫!誰もルール知らないから。」

アイッ(‘A`)?

 

友「監督が相手か!まぁいいだろう。」

ピ「ダイジョブカナ(´・ω・`)」

友2「なお特別ルールとして監督の駒の動きに制限はありません。」

友3「またこの対局の敗者は全員に牛丼を奢る事になります。」

 

友人達により設定された特別ルールに出来レースだと悟った友人は抵抗をみせたが、既にやる気になっているピナちゃんを見て、日頃からピナちゃんに対してめっぽう甘い友人は勝負を受けることになった。

ピナちゃんはどうやって駒を動かしていいのか分からないまま、困惑しながらも縦横無尽に盤上を駆け回り(動きに制限がない為)、ついに友人の王将を追い詰めた。

ピ「アエイ!!(`・ω・´)」訳:王手!!

友「・・・参りました。」

 

周りから「さすが監督!」「プロになれるんじゃねぇの!」と歓声が飛び交う中、友人は全員の牛丼を買いに行くことなり、私達はサラリーマン将棋から解放をされた事に安堵していると・・・

ピ「次は誰デスカ(`・ω・´)?」

やる気になってらっしゃる(涙)

 

しかも牛丼を買いに出かける友人の「敗者は100円を払う」という余計な捨て台詞により、私達はピナちゃんにお金を巻き上げられ続ける事になったのである(涙)

エッエッエッ(*´Д`*)※笑い声

友人が牛丼を買って戻るまで、気を良くしたピナちゃんによる容赦のないカツアゲは続き、ピナちゃんの手元には1,200円もの賞金が積み上げられていた。



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