現場監督の妻と職人達の関係 – その1

ピナ山ヒルズをリフォームするにあたり、図面を理解するという思わぬ才能の片鱗を見せたピナちゃんは現場監督に任命された。

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ピナ山ヒルズは5階建ての賃貸併用ビルで、1階:駐車場と倉庫(現事務所)、2-3階:賃貸(4戸)、4-5階:マイホームの構成となっている。

 

2-3階の賃貸物件として貸し出す部屋は賃料を住宅ローンの返済に回す必要があるため、付き合いのある業者を総動員して最初に仕上げた。

ちなみに賃貸部分の部屋は友人の女性達を招きアドバイスをもらいながら、「この壁にはモールディングを付けた方がいいわね!」「ドレッサーを置くスペースも作ったほうが良さそうね!」とオカマ口調で女性になりきり、過剰なまでに女性らしい部屋を作った。

これは入居者が全て女性になるようにして、余計なトラブルを未然に防ぐためである。

客付け会社にも部屋を紹介する時には収入や職業よりも、話し方や仕草、服装や爪にいたるまで、ピナちゃんが安心して過ごせるかを最優先して、優しそうな人重視で紹介するようにお願いしていた。

 

2-3階の部屋が完成後は私たちの住む居住エリアのリフォームとなるのだが、収入に直結しないこの部分は少ない予算でのんびり作り上げていこうと思い、学生時代から付き合いのある友人の職人達を集めて格安施工をお願いした。

私が顔を出す日は学生時代の遊びの延長みたいになるので、4人いれば麻雀をしたり天気が良ければバルコニーで流し素麺やたこ焼きパーティーが行われ、休憩に入れば数時間話し込んでしまったり、「今日は何もしてねぇぞ!」と夕方から慌てて作業を開始したりと、現場とは思えない雰囲気で進行はとても遅いのだが、それぞれが本来仕事をしている現場で余った材料を持ち寄ってくれるので、格安施工とは思えない高品質の材料が無料で支給されて助かっている。

こんなに良くしてもらっても、私にできる事といえばデロンギのエスプレッソマシーンを持ち込み、現場で本格的なカフェラテやカプチーノが飲める環境を作ってあげる事くらいである。

 

ピナちゃんはと言うと居住部分のリフォームを開始する前に、リフォームに関わる友人達を集めて顔合わせをして、ピナちゃんがこの現場の監督だと紹介した。

小心者のピナちゃんは最初こそ恥ずかしがっていたが、皆私の友人だから遠慮はいらないと伝えるとピナちゃんの人懐っこさもあり、次第に打ち解け可愛がってもらい今では私がいない日でも現場監督の責任感からかおにぎりやサンドイッチを作って、楽しそうにリフォームを手伝いに行くまでになった。
※フィリピンでは家を建てたり改装したりする時は、職人達に施主(注文者)が昼食を振舞う風習があるらしい。

【職人の作業を見守る現場監督】
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フィリピーナの特徴でもある「大量に食事を作る」スキルを申し分なく発揮して、連日のおにぎりパーティーにより、一部の友人から「腹がはち切れそうだから適量を教えてあげてくれ(涙)」と泣き言を言われるトラブルもあったが、何とか役に立とうと一生懸命掃除をしたり荷物を運んだりするピナちゃんの姿を見て友人達も感心したようで、作業着やゴーグルをプレゼントしてもらい、現場監督と職人達の関係は良好なのである。

友人達から「監督はいい奥さんだな!」と言われて私も誇らしいが、驚くのはこれからなのである。

つづく

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