この記事は(第3話)サプライズに驚き怯えるピナちゃんの続きです。
眺めていたクルーズ客船に思いもよらず乗船する事になったピナちゃんは、客船へ足を踏み入れると豪華な内装とピアノの生演奏に心を躍らせているようだった。
実は私もこのようなお洒落な船に乗った事はなく勝手が分からないので、船内のロビー?に設置されたソファに腰掛けて案内を待っていたが、5分位待っても特に案内がなかったため探索を開始した。
船内はいくつかの部屋に分かれていて、各部屋によって食事の内容が変わってくるようである。
乗船した船は”コンチェルト”という船で、ディナークルーズプランの食事は3種類用意されており、中華コース・中華バイキング・鉄板焼きコースがあるが、私達が選んだのはお腹にもお財布にも優しい中華バイキングであった。
船内をウロチョロしながら予約したレストランを探していると、いかにもバイキングっぽい大皿が並べられた部屋を発見し、スタッフの方にチケットを見せると席へ案内してくれたので、注文した飲み物を飲みながら「何てお洒落な事をする大人になったのだろうか」と、自身の顔や普段の生活習慣とかけ離れた空間を楽しんでいた。
やがて船は出港し窓の外に広がる神戸の景色が流れ始めると、ピナちゃんは石のように固まっていた(涙)
ム・・ムービンシテル(゚д゚;)!! (訳:動いてる!)
うん。船だからね!
この日の海は穏やかで、さらに大きな客船なのでそれほど波の影響は感じなかったが、それでも時折船体がユラリと揺れて、泳げないピナちゃんは船が沈むのではないかと不安になるのだが、小心者のピナちゃんが硬直する事を想定していた私に焦りはなかった。
なぜなら過去にも赤レンガから初めてシーバスに乗った時、ピナちゃんは手すりを掴んで石のように固まり、身動きが取れなくなったからである。
そんなピナちゃんも時間の経過と共にシーバスへ快適に乗船できるようになっているので、美味しい料理でも食べれば今回もそのうち慣れるだろうと予想していた。
私「ピナちゃん、料理を取りに行こう。」
(‘A`)!?
ユラユラ
Σ(゚д゚;)アイッ! ムービン・・
(まだ駄目か・・・)
私「ちょっと料理を取ってくるね」
ピ「ハイ。お願いシマス(‘A`)ヨロシクネ」
ピナちゃんが動けないので一人で料理を取りに行ったのだが、並べられた料理を見た瞬間確信した。
これは美味しいタイプやね!
食欲旺盛な私達はバイキングで食事をする事が多いベテランで、すでに視覚だけで優良店か判断する能力を備えているのである。
この判断基準は東南アジアのバイキングで、料理にハエがたかっていないから合格という低レベルなものでなく、国内基準で合格しているので皆様も安心して利用して頂きたい。
料理をテーブルへ並べるとピナちゃんは少し意識が料理へと向かったのか、次第に船上での環境へ適応してきたようだった。
ピ「ハッラー! 美味しいデスネ-(*´Д`*)」
私「ピナちゃんゴマ団子もあったよ」
ピ「本当デスカ(*´Д`*)ハッピーナマントー♪」
私「取ってきたら?」
‥‥‥(‘A`)
恐怖心とゴマ団子の狭間で、ピナちゃんの心が揺れ動いているのが手に取るように分かる(笑)
【取りに行きたいけど立ち上がれないピナちゃん】
私の目を見つめては後ろを振り返り料理の並んでいるテーブルを眺めるピナちゃん。
「本当にゴマ団子はあるんだろうな?」と疑っているのだろうか?
その可愛らしい仕草をもう少し眺めていたい所だが、ここはバイキングである。
貧乏性な私は貪欲にも次の料理を取りにいこうと席を立つと、それを見たピナちゃんも意を決したのか立ち上がってきた!
食欲が恐怖心を凌駕した瞬間であった。
立ち上がったピナちゃんは沈む気配の無い船に安心したのか、私に皿を持たせてゴマ団子だけでなく目に付いた食べ物を(*´Д`*)オォーイ♪とご機嫌な様子でせっせと皿へ移していった。
その後も数回に渡り追加の料理を取りにいったのだが、ふとある事に気が付いた。
このままだとディナークルーズが終わってしまう!
食べ物に目がくらみ忘れていたが船の甲板に出れると聞いたのを思い出した私は、テーブルの料理を完食した所でピナちゃんをデッキへと誘った。
タイタニックプレイでもするか!と意気込んでデッキへ出たが思ったより人が多くて、とてもそんな恥ずかしいプレイができる雰囲気では無かったが、開放的な環境にピナちゃんは満足そうで、行きかう船を見つけては興味深そうに見ていた。
「日本のマナーでは船に乗っている時に他の船を見かけたら敬礼するんだよ」と適当な事を言って敬礼を教えると、キリリとした顔で敬礼をしていたが周りの人達が誰もしていない事に気が付き、恥ずかしさからか鼻の穴を膨らませたピナちゃんに私は尻をつねられた(涙)
楽しい時間はあっと言う間に過ぎてしまい、船は港へと戻りディナークルーズは終了した。
船から下りると日も沈んでおり、神戸ポートタワーやホテルの明かりが海に反射して見える綺麗な場所だったので、夜景を眺めながら先ほどまで乗っていた船が新たなお客さんを乗せて再び出港するのを見送り、次の目的地である神戸ポートタワーへと向かったのだが、予想外の出来事で私の株が上がる事となる。
つづく・・
内容を凝縮して3話くらいで終わらせようと思っておりましたが、思い出がたくさんあり神戸旅行編が想定よりも長くなっておりますが、もう少しお付き合いください(汗)