この記事は札幌の場外市場で食べる海鮮丼が美味しすぎるの続きです。
その日、フィリピン人妻ピナちゃんが日課である昼寝から目覚めると、窓の外には雪がちらつき始めていた。
ロープウェイで藻岩山に登り、札幌の夜景を見せて「こんな所を知ってるなんて太郎って素敵!」と言ってもらおうと思っていたのに、この空模様では雪に景色が遮られてしまう。
天候により計画の変更を余儀なくされ、何があるのか不明だが、ホテルの近くにある”さっぽろテレビ塔”へ行くことにした。
雪が降っている事に気が付いたピナちゃんは、先ほどまで昼寝をしていたくせに「アエイ( ゚Д゚)!!(訳:早くしろ!)」と私を急かす。
寒さが苦手なフィリピーナなのに、雪を見て興奮するのは意外に思われるかもしれないが、楽しさが寒さを上回り都合よく寒さを忘れるのである(笑)
ホテルを出ようとすると、スタッフの方が「傘を利用されますか?」と聞いてきた。
「こんな時、札幌の方はどうされるのですか?」と聞くと、「傘は使いません」と教えてくれた。この程度の雪で傘を使う軟弱野郎は道民ではないと示唆しているのだろう。
滞在2日目とはいえ侮ってもらっては困る。
スタッフの方に見送られながら、気持ちは道民の私達は傘もささず白銀の世界へ飛び出した。
相変わらずピナちゃんは踏み荒らされていない雪を見つけては、足跡をつけてマーキングをするので、僅かな距離にあるテレビ塔に中々たどり着けない。
そればかりか、片っ端から雪が積もっているブロックに落書きをする新しい遊びを覚えてしまい、さらに行軍スピードは遅くなる。
町の景観を乱さないよう、ピナちゃんが次のブロックへ向かうと同時に雪を払い落して回ったお陰で、手袋がビシャビシャになったけれど、やっとの思いで札幌テレビ塔へ到着した。
どうやらテレビ塔は金を払えば展望台へ行けるようだ。
せっかく来たので登ってみようと、チケットを購入しスタッフに渡した所‥‥‥
ス「Turn left!!」訳:左に曲がってね。
(;゚Д゚)⁉
フィリピン人と間違えられたのか、英語で案内された(汗)
ふと隣を見るとピナちゃんは俯き笑いを堪えている。
さらに運の悪いことにエレベーターガールも同様に勘違いをしており、日本語を喋ってしまうと互いに気まずい思いをするはめになる。
仕方がないので上昇するエレベーターから外の景色を見て、大袈裟に「ワオ!」とか言って外国人ぶっていると、ツボにはまったピナちゃんは体をプルプルさせながらも、目を閉じ口を開けて笑わないように頑張っていた(笑)
展望台からは札幌の夜景が広がっているが、それよりも気になるのは土産物屋に売られているテレビ塔のマスコットである。
札幌の方々の独特な感性に触れ、誰が買って帰るのだろうか?それともブサカワ具合が人気なのだろうか?と思いを巡らせていたのだけど、後日、顧客層を知る事になる。
さすがは観光地として人気の札幌市だけあって、凄腕のマーケターがいるのだろう。しっかりとフィリピン人の心に響くデザインを採用していた。
食べ物に魅了されて北海道びいきになったピナちゃんは、テレビ塔の変なマスコットだけではなくて、長年大切に使っていたヒヨコのガマグチ財布も、白クマの財布へと持ち替えて、着々と北海道に染まっていく様子が伺える(驚)
これほどまでフィリピーナを心変わりさせる北海道は恐ろしい街である。
テレビ塔を出ると、何かを見つけたピナちゃんが私の腕をグイグイ引っ張りはじめた。
その視線の先には良い感じで斜面に雪が積もっており、どうやらピナちゃんは駆け上がりたいようなのである。
ピナちゃんは壊れた玩具みたいな変な動きで走り始めた。
しかし運動音痴なピナちゃんは何度挑戦しても、途中で雪に足を滑らせて登頂できない。
そんな姿がキュートなのである。
つづく