昨夜、昭和の雰囲気が漂うカウンターだけの居酒屋でピナちゃんと夕食を食べた。
自宅の近所をパトロール中に適切な表現かは分からないけれど、汚そうな店で食事をとりたい衝動に駆られたからである。
定期的に襲ってくる小汚い店で食べたくなる病だが、狭く小汚い店ならではの楽しさがある。
潔癖症の方には辛いかもしれないが、もしそうでないなら是非ふらりと暖簾をくぐり、大衆居酒屋の雰囲気や出会いを楽しんでもらいたい。
ただ小汚ければ良いわけではない。
本当に小汚いだけで、飯は不味いし店主の愛想も良くない。こんな居酒屋では楽しく食事はできない。
良質な小汚い居酒屋を選ぶにはコツがある。
分かりやすいのは客が楽しそうに飲み食いしている居酒屋で、客と店主の表情で判断する方法だろう。
外から店内の様子が見えない造りになっている場合は、扉を開けて様子を伺い、店内の雰囲気がどんよりとしていたり、なぜか店主が敵意を向けるような目で見てきた時には「何時まで開いてますか?」と言えば自然な感じで撤退できる。
昨夜の居酒屋は扉を開けた途端に威勢のいい店主に笑顔で迎えられ、L字型のカウンターに10席くらいしかないけれど、常連客が素早く席を詰めてくれて温かい雰囲気に包まれた居酒屋だった。
隣と膝が触れ合う距離に加えて酒が入っているためだろうか、こういう店は高確率で他の客が話しかけてくる。
酒が飲めないので烏龍茶をチビチビと飲みながらシシャモを食べるピナちゃんを見て、「もう飲んできたの?彼女は飲まないの?」と隣に座った男性が話しかけてきたので「酔うと寝るんですよ」と返事をすると、さらに奥の席から「奥さんは外国人かい?」と声をかけられた。
「フィリピン人デス(・∀・)」とピナちゃんが応えると、「遠い所からよく来たねー、これ食べなさい」と夫婦で来店されていた年配の奥様が卵焼きをくれた(笑)
小汚い居酒屋の特徴として、小さな共同体というか妙な連帯感がある。
来日してけっこうな年月を過ごしているが、「ようこそ日本へ!」と店全体(ほぼ顔見知りの常連の方)で乾杯してくれて、卵焼きを皮切りに「これも食え、これも食え」と、新入りの私達に各自お勧めの品をご馳走してくれた(汗)
最初は((何で皆さん食べ物くれマスカ(´・ω・`)?))と困惑していたピナちゃんだったが、何でも美味しそうに食べるし日本語も通じることが分かると、気を使って頂いたのかピナちゃんを中心に話しかけてくれて、そのお陰でとても楽しそうにしていて、最後には「お金が無くなったらここに来マス(‘A`)」とピリピンジョークまで飛び出して、シラフなのに周囲のテンションに負けないくらい上機嫌であった。
前置きが長くなったけれど、ご馳走になった食べ物の中に手羽先があった。
私は手羽先にとても思い入れがある。
フィリピンで私達が出会って初めての食事が手羽先だったからと言うだけでなく、ピナちゃんの食べ方に心を打たれたからだろう。
初めてフィリピンで一緒に食事をした時のことである。
「今日は好きなだけ注文してね」と言う私の言葉に反するように、ピナちゃんが注文したのはライスと手羽先を一つだけだった。
「遠慮しなくてもいいよ」と追加で注文しようとすると、ピナちゃんは「これで大丈夫」と私の腕を掴んで止めた。
しかも唯一のおかずの手羽先を、私に食べろと渡してくるのである。
「俺のはあるからピナちゃんが食べなよ」と言っても、「食べて(*´Д`*)」と何故か嬉しそうに手羽先を差し出すので、言われるがままに手羽先を食べた。
「美味しい?」と聞かれたので「美味しいよ」と返事をすると、ピナちゃんはご満悦な表情で、皿に置いた手羽先の骨を取り食べ始めた(驚)
何でそんな食べ方するんだよ!
骨についた食べ残しの身の部分や軟骨を食べるピナちゃんを見て不快感を感じた。
お前が日本人で手羽先を気軽に食べられるからだ!と思われるかもしれないけれど、とにかくその時は空腹で何も食べる物がない状況ではなく、普通に食べられる状況なのに骨を食べる行動が、目の前の好意を寄せている女性に残飯を漁らせているかのように思えて、とても情けないような恥ずかしい気持ちになったのである。
そんな食べ方はやめて普通に食べてほしいと伝えると、ピナちゃんは悲しそうな顔になり、少し間をおいて「私はここが好き。フィリピンでは普通」と言ってきた。
フィリピンでは普通なの?
今になって考えると全然普通ではないのだけど、その時は「文化なら仕方がないな」と単純な私は信じてしまい、ピナちゃんの好きな部位が骨なら好きなだけ食べなはれ!と、私の注文した手羽先の骨をおかずにライスを食べるピナちゃんを見ていた。
それはフィリピーナの愛情表現だった
ピナちゃんが手羽先の身を食べずに、骨に残った身や軟骨を食べる行為は来日してからも続いていた。
そして何故か骨を食べる度に嬉しそうなのである。
アホの極みである私は「よほど骨が好きなんだな!」と思っていて、ある日「何でそんなに骨が好きなの?」と聞くと予想外の答えが返ってきた。
大事な人に美味しい所を食べてほしいデス(*´Д`*)
ピナちゃんは骨が好きなわけではなかった(涙)
私に美味しい場所を食べさせたい愛情表現だったのである。
「前に骨が好きだと言ったのは嘘だったの?」と聞くと、ピナちゃんの育ての母が「骨が好き」と嘘をついて、ピナちゃんに鶏肉の身の部分をいつも食べさせてくれていたようなのだ(涙)
ピナちゃんは育ての母と同じように、私への愛情表現として手羽先の骨を食べてくれていて、愛する人が美味しい部分を食べていると思うと嬉しくなって、いつもニコニコしながら私が手羽先を食べる所を見ていたのだった。
真実を知るのに数年かかった……(滝汗)
これからは好きなだけ身を食べなはれ!
「俺もピナちゃんが大切だから、もう骨しか食べられない」と伝えると、ピナちゃんも身を食べるようになった(笑)
そして本当に骨の部分の軟骨は好きなようで、未だに私の食べた手羽先の骨をこっそり取る事もある(汗)
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