慎ましい生活をしてきたフィリピン人妻のピナちゃんは、フィリピンでも日本でも大金を使う機会は無かったし、地位や名声があるわけでもなく、これまで企業からVIPとして扱われたことはないが、博識なピナちゃんは富裕層と呼ばれる、企業などから特別扱いを受ける人達がいる事実を知っている。
あれは5~6年前だろうか。
私を息子のように可愛がってくれた不動産会社の社長から「内装の勉強になるから見てこいよ」と、社長が会員になっている高級会員制ホテルへ招待されてピナちゃんと宿泊した時のことだ。
洗練された装いの人達に紛れて、フィリピン気分の抜けきっていない軽装で浮いていた私達に、ホテルのスタッフは至れり尽くせりのサービスで至福の時間を過ごさせてくれた。
そこには当然ながら営利企業なので、私達に会員になってもらおうとするホテル側の思惑もあるが、フィリピンで宝石店や家具屋の商品を見ているだけで追い払われていたピナちゃんは、企業からこんなに特別な待遇を受けている人達がいる事を知ったのだ。
そしてホテル側の誤算は、富裕層の社長に紹介された私は金持ちではなく、日頃は3千円くらいのホテルを愛用しているボロ物件専門の投資家だったことだろう(血涙)
富裕層の暮らしとは縁遠い生活をしている私達が、VIP扱いされる事を望んだり羨んだりすることはなく、近所のお年寄り向け喫茶店で『こいつらよく食べるな(驚)』と毎回ご飯を大盛にしてもらったり、小さな幸せを噛みしめて日々を過ごしていたのだけど‥‥‥
先日ピナちゃんの下へ、VIP会員の案内が届いたのである(汗)
フィリピンのスラム街で幼少期を過ごし、来日して贅沢をするわけでもなく、只々平凡な暮らしをしていたピナちゃんが、VIP扱いを受ける富裕層の仲間入りをする日がきたのだ。
フォーブスに孫正義や柳井正と肩を並べて掲載される日は、そう遠くないかもしれない。
私はVIPだって(*´Д`*)オオイ
突然の事にピナちゃんも嬉しさを隠し切れない。楽しげに「VIP会員」と書かれた文字を私に見せつけてくる。
私「すごいなピナちゃん!VIPになったのかよ!」
ピ「アコVIPですから、全部半額デス(*´Д`*)」
私「よっ!さすがVIP!」
ピ「オオイ(*´Д`*)」
1度でも利用した事がある全顧客に送っているであろう、クリーニング屋のチラシに書かれていた「VIP会員様へ」の表記で、ここまで喜べるのは大したものである。
世間で呼ばれるVIPとは少し違うけれど、人生で初めてVIPと認めてもらった事に変わりはなく、ピナちゃんは宝物BOXにチラシを入れた。
できれば「VIP会員ですけど(‘A`)」と、富裕層面してクリーニング店を訪れたい所であるが、半額になる来月末までにクリーニング店を利用する予定がなく無念である。
頂き物の無料宿泊券の利用期間が近づいている事に気が付いた。ただ近頃はバタバタしているので旅行をする時間の余裕がなく、無料宿泊券を無駄にするかもしれないと貧乏性な私は焦っていた。 何とか2泊か3泊くらい時[…]