来日したての頃、ピナちゃんは洗濯物は手洗いをしていた。
洗濯機を知らないピナちゃんに「この機械は自動で服を洗ってくれるよ」と説明しても、本当に汚れが落ちるのか心配でいつも手洗いをしていたのだ。
もちろん私の服やタオル等も手洗い洗濯である。
しかし、時々タオルが生乾きの香りがして臭いのだ。
私も洗濯に詳しい分けではないので、正確な理由は分からないが干し方が甘いのではないかと考えていた。
ピナちゃんの洗濯を観察していると、手洗いを済ませると、軽く絞っただけでびしょ濡れの状態で洗濯物を干す。
生地の薄い物はそれほど目立った臭いはないが、厚手のバスタオル等は生乾きの臭いが顕著に現れた。
私「タオルが臭いから、きちんと乾かさないといけないよ。」
ピ「ゴメンナサイ(´・ω・`)」
私「洗濯したら、すぐに干すんだよ。そうすれば臭わないからね」
ピ「オポ(`・ω・´)」
しかしその後も生乾きの臭いは無くなる事はなく、洗剤がいけないのか?それとも手洗いがいけないのか?と、不思議に思っていた。
ある日ゴルフから帰って、いつもより早めのお風呂に入ろうとすると、湯気がモクモクと立ち込める浴室に洗濯物が干してあった。
ピ「すぐ片付けマス、チョト待ってクダサイ(*´Д`*)」
!!
私「ピナちゃん、いつも洗濯物をお風呂に干してるの?」
話を聞くと、室内だったり浴室であったり、干す場所は特に考えていなかったようだ。
さらに洗濯物を干すスペースのあるバルコニーには、太陽の出ていない夜間でも平気で干していたので生乾きになっていたのである。
私「ピナちゃん、昼の間に外へ干さないと乾かないよ(´・ω・`)」
ピ「デモ、ドライなってるデス(´・ω・`)」
私「乾いていても、臭いでしょ?」
ピ「(´・ω・`)クサイデスカ?」
あれ・・臭くないのかな・・?
生乾きの臭いのするタオルをピナちゃんに渡して、臭いを嗅いでもらう。
私「どお?」
ピ「(´・ω・`)何もないデス・・」
私「臭くない?」
ピ「(´・ω・`)臭くないデス・・」
私が臭いと感じる生乾きの臭いが、ピナちゃんには分からなかったのだ。
そういえば、よくピナちゃんは私の靴下をクンクン嗅ぎながら
(*´Д`*)リラックスするディバー
と言ってる・・。
もしかして、鼻に異常があるのかもしれない(((( ;゚д゚)))
しかし食べ物の匂いには敏感に反応する。
これは、服の臭いなどの生命維持に関係のない機能を排除して、食べ物の匂いを嗅ぎ分ける事に特化した、スラム育ちの鼻が進化した形態なのかもしれない。
ネットで調べてみると、ピナちゃんと同じように生乾きの臭いが分からない人も大勢いるようだ。
本人が臭いを認識していないのに、臭いと言うのは酷な事であろう。
私はピナちゃんに謝罪し、私には嗅ぎ分ける事のできる臭いが、この洗い方、干し方では発生して気分が悪い事を説明し、臭いの発生しない方法を丁寧に教えた。
こうしてピナちゃんは手洗いの物は昼間は外に干すようになり、タオル等はドラム式でスイッチ一つで洗濯が完了する便利さを学び、私は生乾きの臭いから解放された。
そして先日、
ピ「アイッ!臭いナマントーΣ(゚д゚;)(訳:あら?臭いですね!)」
ピナちゃんの買い物専用パンツ(梅雨の室内干し)が、臭いと言い始めた。
何がきっかけか分からないが、生乾きの臭いを嗅ぎ分ける事ができるようになったのだ。
ピナちゃんの鼻が日本使用に退化したのかとも思ったが、相変わらず私の靴下をクンクン嗅いでいるので、ある特定の香り(生乾き臭)だけ臭いと認識できるようになったようだ。
靴下を嗅がなくなったら、少し寂しい気もするので安心していたりもする。