良さそうなビルが売りに出ていたので、昨日は朝から銀行の担当Nさんを呼んで30年後までの予測を見せながら、物件の調査依頼と金利の交渉を行っていた。
交渉も佳境を迎えようとしていた時に、電話の着信があった。
ピナちゃんである。
銀行員と税理士の打ち合わせ中は、緊急の事態を除いては電話をしないように伝えてある為、何事なのかと電話に出た。
私「どうしたの?大丈夫?」
ピ「お仕事シテル、ゴメンナサイ。犬がクマッテマス(´・ω・`)(訳:犬が困っています)」
私「犬?」
ピ「はい、ムービンできません(´・ω・`)(訳:動けません)」
私「ちょっと意味が分からないよ?ピナちゃんは大丈夫なの?」
ピ「はい。私はダイジョブです。犬がクマッテマス(´・ω・`)」
話を詳しく聞いてみると、お散歩中のピナちゃんが壁に挟まって動けない犬を見つけたらしい。
犬を助けたいけれどピナちゃんは幼い頃に、犬にお尻を噛まれた経験があり犬が触れないのだ。
そして触れたとしても、助けるには困難な状況だと電話で訴えている。
写真を送るというので少し待っているとHelpのメッセージと共に、この写真が送られてきた。
これはピナちゃんに救出しろと言うのは難しいかもしれない。
フェンスと壁に完全に挟まれた柴犬がいる(汗)
仕方がないので、打ち合わせを中断しNサンと共に現地へ向かうことにした。
ピ「ダミー!!ダミー!!ヽ(#`Д´)ノ」訳:駄目!
じ「うるせー!」
現地へ付くとピナちゃんと知らないお爺さんが喧嘩をしていた……(滝汗)
お爺さんがフェンスの上から棒で犬の頭を殴り、ピナちゃんがそれを阻止しようとしている。
しかし気の小さいピナちゃんはお爺さんが振り向くと距離を取って固まり、犬を叩き始めると怒りながらお爺さんの腕をピッっ触って邪魔をする事しかできない。
ピナちゃんは私の存在に気が付くと助けを求めてきた。
ピ「太郎!おじいさんが犬をヒットスルデス(ノД`)(訳:お爺さんが犬を叩きます)」
お爺さんは私の存在を認識した途端に大人しくなった。
それもそのはずで平日の昼間からTシャツ短パンの大きな男が、スーツの男を連れて向かってくるのだ。
よく分からない組み合わせすぎて私でも怖い。
棒を取り上げ話を聞くと、この犬はお爺さんの飼い犬らしい。
現場の状況を確認し救出方法を考えてみたが、上からは犬の体が通るスペースを確保できない為、犬を開けた場所まで後退させるしか脱出する方法はなさそうだ。
フェンスの隙間から指を入れて犬を後ろに押してみるが、老犬だからなのか中々動こうとしない。
それでも少しずつではあるが一歩一歩確実に後退していた。
そんな時に飼い主のお婆さんが登場
ば「茂男(仮名)!茂男!こっちにおいで!」
飼い主と茂男(犬)の絆を利用し後退させようとするも、急に大きな声がしたためビックリして茂男(犬)は前進・・・・
15分が無駄になった(涙)
私「お婆ちゃん、犬がビックリするから大きな声を出さないでね」
ば「ああ・・ごめんなさいね・・(´・ω・`)」
じ「叩けば下がるんだよ!」ビシッ ビシッ
お婆ちゃんに気を取られていると、何処から持ってきたのか熊手で再び茂男(犬)を殴打するお爺さん!
熊手を取り上げる私。
私「お爺さん、俺が助けるから叩かないであげて」
ピ「ソデスヨ!カワイソデスヨ!ヽ(#`Д´)ノ」
じ「叩かねーと言うこと聞かねーんだよ」
確かに、手で後退させていては日が暮れる。
私「お婆さん、この金網切ってもいいですか?」
ば「それ市が取り付けた物だから駄目なの(´・ω・`)」
どうしたものか・・
(‘A`)!?ピコーン
膠着状態が続く中、私は秘策を思いついた。
布を犬の体に巻き、そのまま運べば犬の体への負担も少なく時間も短縮できるのではなかろうか?
私「誰かタオルを持ってませんか?」
一同「……」
私「Nさん、上着貸して?」
N「それは・・ちょっと・・・」
ピ「ドウゾ( ・Д・)ノ」ピッ!
ピナちゃんのカーデガンを使うくらいなら、私のTシャツを使う。
熊手と棒を持ったスーツの男の隣で、上半身裸で金網に向かって何かしている男。
それを見守る老人二人とフィリピン人。
カオスである。
多少苦戦したが、無事に茂男(犬)の体にTシャツを巻きつける事ができた。
後は少し吊り上げて動かすだけである。
ズリ ズリリー
おお!思いの他スムーズに運べる。
無事に茂男(犬)を救出ポイントまで運ぶ事に成功。
じ「しげお~(´∀`*)」
ば「しげお~(´Д⊂)」
茂男「ワヒ~ン(´ω`*)」
さっきまで棒で叩いてたお爺さんがすごく優しくなっている(驚)
そして茂男も嬉しそう。
お爺さんは茂男(犬)を救出したいが為に、あのような行動に出ただけだったのだろうか?
汗だくになったので打ち合わせは後日に変更してもらい、そのままピナちゃんと歩いて帰った。
ピ「お仕事お邪魔してゴメンナサイネ(´・ω・`)」
私「ピナちゃんのお陰で茂男が助かったからね。気にしないで。」
面倒だからと犬を見捨てる妻でなくて嬉しく思う。
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