ピナちゃんはスキップの跳ねる動きが上手くできない事が判明したので、いつかスキップをする時がくるかもしれないと、部屋で猛特訓をしていると友人から電話があった。
「この忙しい時にどうしたんだ」と電話に出ると、「太郎の婆ちゃんが家に入れなくなって、隣の家で待ってるから迎えに行ってくれ」という衝撃の内容だった(驚)
いったい何があったんだと、ピナちゃんを連れて急いで祖母の家へ向かい、インターホンを鳴らしても反応がないので、電話で教えてもらった隣家を訪ねると、隣のお婆ちゃんが部屋へ迎え入れてくれた。
部屋にはこたつで暖を取っている祖母がいて、怪我もなく元気そうだったので安堵した(汗)
隣のお婆ちゃんが「みかんでもお食べ」と言うので、みかんを食べながら祖母を保護してくれたお礼を言うと、「太郎ちゃんはいつも犬を捕まえてくれてたからお互い様だよ」と笑っていた。
この犬というのは隣のお婆ちゃんが以前飼っていた柴犬のことで、脱走癖があり隣家を飛び出しては逃走劇を繰り広げる犬であった。
小学生の頃の私はこの犬を舎弟認定しており、舎弟の不始末は親分の責任だと感じ、犬が逃走した時には捕獲隊として優秀な成績を残していたのである。
しかしこの脅威の捕獲率にはお婆ちゃんの知らない裏側があって、犬が逃げる先は決まって私が山に作っていた秘密基地だった。
犬の散歩をしてあげると隣のお婆ちゃんは、毎回お小遣いとして100円をくれて、100円玉を握りしめ散歩中に駄菓子屋へ寄り、秘密基地で犬にいつもお菓子を分けてあげていたので、そのせいではないかと思っている(汗)
お婆ちゃんは「みかん」と言っていたはずが、次々と菓子やパンがこたつへと積み上げられ、「食べろ食べろ」と言うので、なぜどこのお年寄りも腹一杯食べさせたがるのだろうか?と不思議に思いながらも、今回のあらましを聞いた。
祖母は郵便物を取りに外へ出ると、建て付けが悪いのか閉めた衝撃で玄関の鍵が閉まり、インロック状態になり家へ入れなくなった。
ポストを見るだけのつもりなので鍵や電話も持っておらず、何とかして玄関を開けようとしたけれど、祖母の力では開けることができなくて、寒い中で薄着だったこともあり、このままでは風邪をひくと、隣家のおばあちゃんに助けを求めたようだった。
しかし電話を家に置いているため家族の電話番号が分からず、どうしたもんだと考えていると、私の友人が近くに住んでいたことに気が付いて、友人宅へ連絡を取り、お婆ちゃん→友人の母→友人→私、の電話リレーで事態が発覚したのである。
6人を介せば誰とでも繋がる事ができる、六次の隔たりという言葉があるが、その通りだなと思った。
その後、合鍵で家へ入って、隣のお婆ちゃんと友人宅へ何かお礼のお菓子でも買って持っていこうと、買い物へ出かけようとすると、祖母が「あのパンを持っていってあげてほしい」と言った。
“あのパン”とは、痩せた祖母を少しでも太らせようと、都内のスーパーで見つけたデニッシュ生地?に何か練り込まれている食パンのことで、東京に用事がある度に買っている幻の食パンである。
今から都内へ行けと言うのかい…?
「婆ちゃん、クッキーとかでいいんじゃないかな?(汗)」と、何とか近場で済ませようと足掻いてみたけれど、「じゃあクッキーにしようか(´・ω・`)」と言う祖母の淋しそうな顔を見ると、「ちょっと2時間待ってて」と孫は弱いのである(涙)
しかし”2時間”という言葉に反応するピリピン人がいた。
「2時間も何をシマスカ(´・ω・`)?」と、今からの長距離運転に気が重い私の気持ちも知らず聞いてくるピナちゃんに、祖母の好きな食パンを買ってくる事を伝えると、「時々お婆ちゃんが食べてる食パンデスカ(・∀・)」と聞いてくるので、「そうだよ。少し遠くにあるんだ。」と返事をすると衝撃の事実を教えてくれた。
そこのスーパーに売ってマスヨ(・∀・)
((((;゚Д゚))))えぇ!?
そんな分けねぇだろ!と思いながら近所のスーパーに行くと、全く同じ物が売っていた(涙)
これまで幻の食パンだと思い、ありがたがって都内のスーパーまで足を運び買っていて、品切れを気にして電話予約でお取り置きまでしてもらっていたのに、実はどこにでも売っている食パンだったのである(血涙)
しかもピナちゃんが一人で祖母の家へ来た時には、幻の食パンのお使いを頼まれる事もあり、何度か近所のスーパーで購入済みであることも教えてくれた。食パンは関係ないけれどそのスーパーのゲームコーナーで、太鼓の達人を1プレイして帰るのが楽しみな事も追加情報で教えてくれた。
祖母とピナちゃんからすれば、歩いて15分くらいのスーパーへのお使いに、2時間と告げた私に「こいつ何言ってんだ?」と思ったことだろう。
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