ピナちゃんにはフィリピンに2人の親友がいる。
ピナちゃんはフィリピンで貧しい暮らしをしていたので、学校ではクラスメートに「ピナは豚小屋に住んでいる」とからかわれ、気の弱いピナちゃんは言い返す事もできず泣いているだけであったが、 この親友二人はピナちゃんよりも裕福であったが、貧乏を馬鹿にしたりせず日頃から仲良くしてくれて、3人で遊ぶ時はお金が無いピナちゃんに合わせてカフェやレストランは利用せず、お金のかからない公園等で将来の夢を話したりしていた。
そんな親友の一人であるカトリーナから「カナダで働くビザを取るのに有利になるから、1週間ほど日本への旅行を考えている」と年末に連絡があった。
親友から訪日したいという話を聞き何とか力になりたいと思ったのだろう、ピナちゃんは私に旅費を浮かせるためカトリーナを自宅へ泊めてもよいか聞いてきた。
ちなみに親友二人はとても美しい女性である。
私は部屋が汚れるのが嫌いなので、友人であってもなるべくなら自宅へ宿泊はさせたくはないのだが、カトリーナはスカイプで話をした感じだと良い性格をしており、キレイ好きなのではないかと勝手に判断し、何よりハーレムじゃないか!との下心もあり、二つ返事でOKを出した。
我が家にはベッドが一つしかないため、どうやって寝るのか期待に胸を膨らませる所であるが、昨年ジェニーが泊りにきた時には一家の大黒柱である私が涙を呑んでソファで眠った前例があるので、今回もそうなるだろうと考えていた(涙)
しかし来日希望の連絡から数日後に事態は思わぬ方向に動き始めた。突然カトリーナの旦那と義父が一緒に日本へ行ってみたいと言いはじめたのだ。
自宅に3人追加か……もしかして私は床に眠るはめになるのだろうか?
色々と考えを巡らせていると、ピナちゃんが旦那の写真を見せてくれた。
あ、あかん!これはえらいこっちゃ!
人を外見で判断してはいけないのだが写真に写るカトリーナの旦那は、見るからに平気で立ち小便をしそうな、やんちゃくれな雰囲気を醸し出しているのである(涙)
これがピッチリ七三分けのヘアスタイルであったり、スーツにメガネをかけていたり、そこまでではなくても小奇麗にしていれば多少は私の持つ印象も違う。
しかしドラム缶の上で木の棒を持っていたり半ケツでバイクを運転していたりと、仏のような心を持つ私であってもポジティブに捉えられないのである。
我が家に3人を泊めて何か問題があれば、1週間もの間快適な生活が脅かされると危惧した私は、さすがに3人は自宅へ泊めることはできないと伝えた。
納得したピナちゃんは自宅に宿泊できない事をカトリーナに連絡をしようとしていたが、せっかくピナちゃんの親友が来日するというのに、何か良い解決策はないか思案した結果、私は誰もが幸せになる考えを閃いたのである。
秘密基地に泊ってもらえばいいのではないだろうか?
現在の秘密基地は観光地にある29㎡のワンルームで3人程度なら問題なく過ごせるし、手厚い保険にも入っていてしばらく貸し出す予定もないので、壁に穴を開けられたり風呂が破壊されるくらいは受け入れる事ができる。
泊る部屋を用意できる事をピナちゃんからカトリーナに伝えてもらうと、とても喜んでいた。
それから1ヶ月の間、ピナちゃんは初来日のカトリーナファミリーに寒い日本を楽しんでもらうため、お小遣いで毛布やカイロを購入し、カトリーナに貸してあげる冬服を用意したり、観光地や美味しいレストランを調べたりと、嬉しそうに親友を迎える準備をしていたのである。
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