目ぼしい物件がいくつか出てきていたので忙しくしていた。
先日も馴染みの不動産屋と一緒に物件見学ツアーを開催し、どんなリフォームをするか物件談義に花を咲かせながら昼食を取っていた所、電話が鳴ったので画面を見ると祖母からであった。
私「婆ちゃんどうしたの?」
ば 「仕事してるのかい?」
私「うん。してるよ。」
ば「そうなの。じゃあ今からピナちゃんと一緒に遊びにおいで」
私((じゃあの意味が分からないよ・・))
私「いや・・今仕事してるから」
ば「庭にさくらんぼができたから、早くおいでね。」
私「仕事が終わってか……」
ば「鳥が食べちゃうから、今からピナちゃんとおいでね。」
ガチャ・・ツーツー
容赦がないのである・・
突然の招集命令に残りの物件は不動産屋に写真と動画を撮影してもらい、後ほどオフィスで確認する段取りをして、ピナちゃんを迎えに行くため帰路についた。
思いがけない祖父母の家への訪問に「楽しみナマントー(*´Д`*)」と、浮き立つピナちゃんを連れて家へ到着すると、出迎えてくれている祖母との恒例行事となっている「まとわりつき」を行い、満足したピナちゃんを連れて庭へと移動した。
庭に入って目に飛び込んできたのは、大量の実をつけたさくらんぼの木であった。
いつの間に植えたのかは分からないが祖父がピナちゃんが喜ぶと思い、色々な木を庭に植え始めているようである(汗)
スゴイ!! スゴイ!! (*´Д`*)オオーイ!!
さくらんぼを前にしたピナちゃんは大はしゃぎで、それを見た祖父母も満足気な表情を浮かべていた。
ピ「ゲットしても良いデスカ.。゚+.(・∀・)゚+.゚」
ば「いいよ。たくさん取って家で食べてね(´∀`)」
ピ「オオーイ(*´Д`*)」
パクッ!!
ピ「スッパイデス……(´・ω・`)」
ば「青いのはまだ酸っぱいから食べちゃだめだよ(笑)」
「移動で疲れただろうから、まずは一休みしなさい」とお茶を用意してくれたので、縁側に腰掛けて休もうとすると、祖母から脚立とザルを渡され何故か私だけは休まずさくらんぼを収穫する事になり、おかしいな・・運転したのは俺なのに・・と心の中で思いながら、一心不乱にさくらんぼをもぎ続けていたのである。
だが私が楽しそうにしていると一緒に楽しみたくなるピナちゃんの性格を知っている私は、さくらんぼを収穫しながら大げさに「すげー(´∀`)チラ」「美味しそう(´∀`)チラチラ」と、全身から楽しさを滲ませていると、案の定ピナちゃんは我慢できずに食いついてきた。
私も!私もするデス(*´Д`*)
ちょろい・・ちょろいよピナちゃん。
こうして仕方がないなぁという表情を浮かべながらも、無事に収穫をピナちゃんに任せる事に成功した私は、縁側に座りお茶を飲みながら、楽しそうに収穫するピナちゃんと脚立から落ちないように支える祖母を眺めていたのである。
私達が結婚した当時の祖父母との確執は無くなり、今では和やかに楽しむ時間を持てるようになった事をしみじみと実感した。
フィリピン人妻を受け入れてくれた祖父母には感謝している。