この記事は病に倒れたフィリピン人妻の続きです。
短い仮眠を取り目を覚ました私達は病院へ行く支度をしていたが、ピナちゃんは「病院へ行きたくないデス(´・ω・`)」と言い始めた。
さっきは病院へ行くと約束したのに、数時間のうちに気が変わってしまったのだろうか・・?
私「先生に注射はしないようにお話するから大丈夫だよ。」
ピ「そうじゃないデス(´・ω・`)」
私「じゃあ何で行きたくないの?」
ピ「病院行くとお金たくさんいるデス(´・ω・`)」
どうやらピナちゃんは私の懐具合を心配してくれているようだが、病院代くらいは捻出できるし負担ではない。
私はピナちゃんにお金の心配はしなくても良いと話しをするが、頑なに行く事を渋るのである。
話を聞くとどうやら莫大な金額を請求されると思っているようで、以前話をした健康保険の制度についてはすっかり失念しているようであった。
私「ピナちゃんインシュランスカード(保険証)持ってるでしょ。」
ピ「ハイ」
私「それは病院で使えるスペシャルメンバーシップカードなんだよ。」
ピ「どうなるデスカ?」
私「そのカードを出すとね、70%OFFになるんだよ(・`ω・)b」
ピ「70%OFF(((( ;゚д゚)))!?」
私「だから心配しなくてもいいよ。」
こうして説得に成功した私はピナちゃんを病院へ連れて行ったのだが、車に乗ると普段なら楽しそうなピナちゃんも、腹痛のため元気が無いので心配であった。
病院の待合室に三匹の子豚の絵本があったので、痛みを紛らわせるために読んであげようとしたがそれ所ではなさそうである。
吐く事はなくなったが症状には波があるようで、今は痛みが激しい時間なのだろう。
診察の順番を弱っているピナちゃんのお腹をさすりながら待っていると、ピナちゃんの名前が呼ばれた。
一緒に診察室へ入り症状を説明しただけで先生は病状を理解したようだった。
医「あーこれは嘔吐下痢症だね。お腹の風邪って言われてる症状ですよ。」
私「そうですか。ノロではないでしょうか?」
医「ノロかもしれないけど治療方法は同じだから検査はしなくていいよ。お金がかかるだけだから。」
その後、丁寧に病気や治療法方の説明をして頂き、重い病気ではない事に安堵したのである。
治療方法は以下の通りだった。
- スポーツドリンクを温めて飲む。
- 夜まで絶食。
- 夜からはお粥や雑炊を食べる。
後は時間が経過して良くなるのを待つだけだったが、朝ごはんを食べていないピナちゃんは夜まで食事ができない事にショックを受けていた(笑)
ピ「太郎・・お腹が空きマシタ(´・ω・`)」
私「夜まで食べたら駄目だよ。」
ピ「…チョットならダイジョブデス(´・ω・`)」
私「お腹が痛くなるよ(笑)」
ピ「お薬も飲むデス(´・ω・`)」
私「・・・・・」
とても悲しそうな顔をするピナちゃんを見ると、食事を取るべきではないと分かっているのだが、夜まで食べれないのは可哀想だと思い家でうどんを作ることにした(涙)
肉うどんを一人前だけ作り、お椀に麺を3本とカマボコを入れてあげると嬉しそうに食べていた。
それから暫くしてうどんが駄目だったのか病状の波なのか分からないが、再び腹痛に襲われ苦悶の表情を浮かべてるのでベッドに寝かせて様子を見ていた。
晩御飯はキノコ雑炊を作ってあげようと思い、冷蔵庫を見ると肝心のキノコが無い。
キノコを買いに行こうか迷ったが、ピナちゃんを残して買い物に出かけるのは心配だし、空気感染をするノロウィルスの可能性もあるので、鋼の精神を持つ私は大丈夫だとしても、買い物中の人達を巻き込んでピナ山家発のパンデミックを引き起こしてはいけないと思い、晩御飯は卵雑炊に変更したのである。
眠りについていたピナちゃんだったが、ご飯の炊ける匂いを察知したのかフラフラとキッチンへ姿を現した。
料理を手伝おうとするので、「病人はすっこんでろ!」と言えるはずもなく、「お腹が痛くなるから座って待っててね。」と椅子に座って待っているよう伝えた。
ピナちゃんの熱い視線を浴びながら雑炊を作ろうと思ったのだが、一つ問題がある。
私は雑炊の作り方を知らないのだ。
雑炊とお粥が仲間っぽいのは理解しているが、はっきりとした違いは謎である。
トロミが強いのがお粥、まだご飯の面影があるのが雑炊だと考えているが、合っているかは定かではない。
当初作り方はネットで調べようと思っていたが、ピナちゃんが椅子に座って隣で見守っている手前、日本人のプライドが邪魔をして調べる事ができないのである。
私は炊飯器からご飯を取り出しながら、雑炊の作り方に色々と考えを巡らせていた。
雑炊とお粥が家族だとしたら、お茶漬けは従兄弟なのではなかろうか?
だとすればご飯にお湯をかけると雑炊になるはずである。
しかし出来上がりの味を想像しても味が全く無い気がする。
私くらいの料理人になると想像するだけで料理の味が何となく分かるのである。
この奥が深すぎる雑炊という料理を諦めてうどんを作ろうかと考えたが、ご飯も炊いてしまったので感性にまかせて、沸騰したお湯にご飯を入れて湯がく事にした。
何となく雑炊っぽくなってきたので卵も入れてみると、完璧な雑炊が出来上がってしまった。
自身の料理人としての才能に身震いしながらも、ピナちゃんの雑炊を取り分けて食べてもらうと…
ピ「美味しいデス(´Д`)」
何と味覚に優れたフィリピーナであろうか。
お腹の痛みも無く食欲もあるピナちゃんの姿を見て安心したので、私も雑炊を食べようと口に運んでみたが…
味が無い(((( ;゚д゚)))
私「ピナちゃん…味が無いね。ごめんね。」
ピ「ソデスネ(´∀`*)」
私「残してもいいからね。」
ピ「ダイジョブ!! 太郎頑張って作ったから美味しいデスヨ(´Д`)」
(´;ω;`)
味の無い料理を美味しいと食べてくれる優しいピナちゃんに感動しながら、全く美味しくない雑炊を完食したのである。
ご心配をお掛けしましたが3日ほどで完治しました。今はすっかり元気になり、「早く来ないと無くなるよ~♪」と最近口ずさみ始めた謎の歌を歌っています。