妻の優しさとママの怒りと従兄弟の鼻の穴

家に帰るとスカイプ越しに、凄い勢いで謝っているフィリピン人男性と泣いているピナちゃんがいた。

このフィリピン人男性は陽気な性格をしているピナちゃんの従兄弟デニスで、この謝りっぷりは何かやらかしたのであろう。

 

理由を聞いてみたのだが、その前にフィリピン人のクリスマスへの凄まじい情熱について説明しなければならない。

日本人の感覚では信じがたいが、フィリピンではクリスマスの半年前から準備を始める家庭もあるほど、クリスマスは一大イベントである。

むしろクリスマスの為に1年過ごしていると言っても過言ではない。

 

多くのフィリピン人は8月になると「クリスマスはまだか」とソワソワし始め、 9月になるとクリスマスソングを口ずさみ、10月に入ると町の至る所でクリスマス関連商品が販売されはじめ、11月になると町はクリスマス一色となり、クリスマス当日には全ての現金を使い果たす。

また海外で生活しているフィリピン人には「クリスマス送金」という文化が根付いており、海外で稼いだお金を母国フィリピンに送金してフィリピンでのクリスマスイベントの援護射撃するという、お金を送金する本人はイベントに参加できないので満足感だけを得るという謎の風習もある。

貯蓄の概念の薄いフィリピンであるにせよ、あの豪快な金遣いは後先を考えて無さ過ぎである。

 

11月も終わりに近づくと日本でも町にクリスマスの電飾が灯り、クリスマスムードが漂い始めてくるが、ピナちゃんもクリスマスへの情熱をしっかり継承しているようで、ツリーや電飾を見かける度に鼻息を荒くしてずいぶんと興奮している。

我が家では毎月決まった額の仕送りをしているので「クリスマス送金」で現金を送る事はないが、クリスマスにはピナちゃんのファミリーに日本の食べ物や玩具などをプレゼントするようにしている。

 

昨年はフィリピン人の喜ぶ贈り物の定番である、シーフードヌードルやチョコレートをはじめ素麺・麺つゆ・フリカケ・お菓子等が入った大きなダンボールをbalik bayan boxを利用して送った。

概ね好評であったが梅干と暴君ハバネロ(お菓子)は一部から苦情を頂いた。

またアパートの前に設置する為に購入していた、太陽光充電式のソーラーガーデンライトが余っていたので、ついでに送ったのだが、「そんなハイテクな物を家の前に設置したら泥棒に狙われちゃう(´;ω;`)」と言われ、日本では防犯の為に使うソーラーガーデンライトもスラム街では標的になるだけだと知り驚いたのである。

 

私は自分の物を買うよりも、ピナちゃんに何か買ってあげた方が幸せを感じる鴨ネギ体質なので、実の所ピナちゃんファミリーへの贈り物を選ぶのも楽しんでいるのだが、ピナちゃんは私が無理をしているのではないか?と心配しているようだった。

ピナちゃんも貯金をしているので半分出すと言ってきたが、スズメの涙ほどのピナちゃんの貯金を使うのは忍びないので、昨年その申し出は断ったのである。

 

それでも何とか協力できないかとピナちゃんは考えたのだろう。先日こんな事を言ってきた。

ピ「あの・・お願いがあるデスケド・・(´・ω・`)」

私「どうしたの?」

ピ「今年もクリスマスはセンドするデスカ(´・ω・`)?」※訳:今年もクリスマスに贈り物をするの?

私「するよ(・`ω・)b」

ピ「駄目ならダイジョブデスケド、コレ使うしていいデスカ(´・ω・`)?」

 

ピナちゃんが差し出してきたのは大量の500円商品券であった。

この商品券は近所のスーパーマーケットで会員登録して買い物をすると時々貰えるらしく、ピナちゃんは一年間コツコツと貯めていたのだ。

 

ピ「太郎のお金で食べ物買うシテルから、駄目ならダイジョブデス(´・ω・`)」

ピ「デモ今年はコレで買うと太郎のお金もったいなくないデス(´・ω・`)」

私「すごい!頑張って貯めたね!みんな喜ぶと思うよ(・`ω・)b」

ヽ(´Д`*)ノ イエヘーイ!! アリガトポ!!

 

その日から何を買ってあげるか、ピナちゃんは楽しそうに相談してきていた。

「せっかくなら欲しい物を買ってあげたらいいんじゃない?」とアドバイスすると、ピナちゃんはファミリーに何か欲しい食べ物はあるかを聞いて周ったようである。

 

そんな中、従兄弟のデニスにも「何か欲しい食べ物はありますか?」と聞いた所、デニスは「タコヤキマシーンが欲しい」と言ったらしい。

しかしピナちゃんの持っている商品券はスーパーマーケット内でしか使う事ができないので、たこ焼き機は買う事ができない為、事情を説明し「食べ物で欲しい物を教えて下さい」と言ったのだが、お調子者のデニスは「何だよタコヤキマシーン買えないのかよ(笑)」と悪態をついた。

 

デニスにとっては冗談のつもりであるが、スカイプを切った後で欲しい物を買ってあげる事ができないピナちゃんは落ち込んで泣いてしまった。

そこへデニスにとって運の悪い事にママからピナちゃんへスカイプで連絡があったのだ。

ピナちゃんのママは長女で現在一族のボスである。ママは娘を泣かせたデニスを烈火のごとく怒ったようで、すぐさまデニスはピナちゃんへ謝罪をしてきた。

 

余りにもションボリしているデニスに「冗談って分かってるから気にするなよ」と声をかけるも、普段陽気なデニスが今にも泣きそうな顔をして、さらに鼻の穴が膨らんでいるのに気が付いてしまい笑いを堪えるのが大変であった。

ピナちゃんはデニスに怒って泣いたわけではないので謝られる理由もなく「気にしないで」と繰り返すのであるが、ママに怒られて何とか許してもらおうとするデニスは謝り続け、平行線を辿る話し合いが続いたのだが、その中でデニスはたこ焼きが好きではないという事も分かり、私はさらに衝撃を受けたのである。

 

「何でタコヤキマシーン欲しいって言ったんだよ(笑)」と言いたい気持ちをそっと胸にしまい、筋トレルームへと移動したのである。

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