体が動かないから今年は野菜を育てられないな・・・
祖父が庭を見ながらポツリと呟いた。
家庭菜園を趣味としている祖父だが、寄る年波には勝てず以前のようには体が動かなくなったのを実感しているのだろう。
この決断は、毎年のように祖父の育てた野菜を山賊のごとく拝借していた私にも大打撃だ。
ほぼ毎日祖父母宅へ顔を出しているし、代わりに育てたい気持ちはあるが、私は数年前に畑の一部を借りて華々しく開園したピナ山農園のサツマイモを壊滅させた過去があり、サボテンくらいしかまともに育てる自信がない(涙)
じいちゃん孝行をしたら庭の畑で家庭菜園ができる権利を手に入れたで紹介した畑に、何の作物を植えるか悩んでいた。コメントで色々と魅力的な作物を教えて頂いて悩みに悩んだけれど、最終的には畑のオーナーのピナちゃんが自家製のサツマイモを収穫し[…]
私「じいちゃん諦めんなよ!いける!いけるよ!」
可愛い孫に励まされては弱気になった祖父も奮い立つしかないだろう。
じ「無理!」(切れ気味)
孫の声は祖父に届かず、ピナ山農園の閉鎖が決まるかに思えたが、祖父母大好きフィリピン人ピナちゃんが声をあげた。
ピ「私がお野菜育てマス(*´Д`*)」
じ「(`・ω・´)⁉」
ピ「おじいちゃん、やり方を教えてくだサイ(*´Д`*)」
じ「土を触るし大変だよ」
ピ「ダイジョブデス(*´Д`*)」
じ「・・・何から何まですまんの(涙)」
ピ「おおい(*´Д`*)」訳:いいってことよ!
ピナ山農園は祖父からピナちゃんへ事業継承が行われた。
農園で働くフィリピン人妻
翌日、ホームセンターで油カスを購入して、本格派農作業スタイルのピナちゃんは祖父に教えてもらいながら土壌改良を行った。
ちなみに機動性に優れたピナちゃん専用機(椅子)は、お尻が痛くならないように祖父がクッションをつけてカスタマイズしている(笑)
私も農園の雇われ農夫として、ピナ園長の指示を仰ぐ。
私「俺も何か手伝うよ。」
ピ「1人で出来ます。ダイジョブデス(`・ω・´)」
『仕事を舐めるな素人はひっこんでろ!』とでも言いたげだが、本当の理由は違う。
このピリピン人は手柄を独り占めして祖父に褒められたいのである(笑)
暇を持て余した私は縁側に寝転がり、黙々と作業をするピナちゃんを眺めていた。
暇すぎてプッと屁をこいて「尻がしゃべった(驚)」と園長にちょっかいを出すのだが、「私はお仕事中ですカラ、おじゃましないでクダサイ(`・ω・´)」と相手にしてもらえなくて寂しい。
しかし数分もすれば・・・
ピ「虫を捕まえマシター(*´Д`*)」
私「仕事はいいのかい?」
Σ(゚д゚;)ハッ⁉
仕事中だと思い出し、慌てて持ち場へ戻っていった(笑)
再び暇を持て余した私は頑張るピナ園長に、昼食を食べたばかりだけど「肉を焼いてやろう」と思いついた。
さっそく肉屋とダイソーをはしごして、流行のバーベキューセットを用意したのである。
気持ちの良い青空の下で肉を食べれば、さぞ農作業も捗ることだろう。
ダイソーで入手したフライパンに炭を入れ火を起こす。
ふと顔を上げると、肉の焼ける匂いに釣られてやってきたフィリピン人がこちらを見ていた。
ピ「お肉を食べるのかい(´・ω・`)?」
私「焼けたら持って行くから待っててね」
ピ「アヨコ( ゚Д゚)!!」訳:嫌です。
私が一人で食べ尽くすと思ったのか、専用機(椅子)を持ってきて隣に座り込み肉が焼けるのを待ち始めた。
仕事が捗るどころか職場放棄である(汗)
パクパクパクパク(`・ω・´)!!
農作業でお疲れだったのだろう。二度目の昼食とは思えない食欲で私達は肉を平らげた。
これで大幅に作業効率が向上するはずである。
しかし、私はフィリピン人の習性を甘く見ていた。
「フイー(‘A`)」と立ち上がったピナちゃんは、いそいそとシャワーを浴びてパジャマに着替えると、祖母の寝ている布団へ潜り込んだ。
そう、満腹になったピナちゃんは昼寝をするつもりなのだ。
祖父母とピナちゃんがお昼寝タイムに突入したことで、私は一人ぼっちでバーベキューの後片付けとプランターの土の仕上げをすることになった(血涙)
目ぼしい物件がいくつか出てきていたので忙しくしていた。先日も馴染みの不動産屋と一緒に物件見学ツアーを開催し、どんなリフォームをするか物件談義に花を咲かせながら昼食を取っていた所、電話が鳴ったので画面を見ると祖母からであった。[…]