ご近所さんに釣り好きのお爺さんがいる。
「歳を取ってから沖へ出る船に乗せてくれない」とぼやいているが、頻繁に釣りへ出かけていて、時々釣った魚をピナちゃんにプレゼントしてくれる。
初めて魚を頂いた時に、ピナちゃんは宝くじに当選したかのような喜び方をしたので、お爺さんも気をよくしたのか、魚がたくさん釣れた時には持ってきてくれるようになったのである。
昨日もお爺さんと奥様が「食べきれないから」と言い、黒鯛(クロダイ)を3尾持ってきてくれたので、ありがたく頂いたが、すでにコストコのピザをホールで購入していたので、翌日に食べる事にして冷凍庫に保管すると、タイミング良く祖母からピナちゃんに「遊びにおいで」と電話が入り、ご近所さんから黒鯛を頂いた話をすると煮付けを教えてくれる事になった。
ピナちゃんの作るカレイの煮付けは、権威ある審査機関を自称する私から四つ星の高評価を得ていて煮付けは得意料理なのだが、ピナ山家に代々伝わる煮付けを覚えようと、と言うか祖母と遊ぼうと祖母からの提案を快諾したのである。
そして本日、早朝から準備を済ませていたピナちゃんに起こされ祖母の家へと行ってきた。
家へ向かう途中で祖母の好きなケーキ屋へ寄りケーキを選んでいると、「ちょっと待っててクダサイ(*´Д`*)」とピナちゃんは店の外へ出て行き、隣接する花屋でバラを一輪購入して戻ってきた。
ピナちゃんはサプライズで祖母に喜んでもらおうと思っていて、私が一人で来た事にして玄関の陰から花を持って飛び出てくるというプランであったが、玄関の引き戸は一部がすりガラスになっているので、ある程度の距離があれば別だが密着して待機していたピナちゃんは室内から丸見えであった(涙)
飛び出すタイミングを計っていたピナちゃんに、隠れているとは微塵も思っていない祖母が「ピナちゃん何してるの?」と話しかけてしまい、何とも言えない表情で入ってきて花を渡していたのである(笑)
食卓にバラを飾り黒鯛を渡すと、今から煮付けを作ろうとしているというのに、お年寄り特有の食べろ攻撃によりプリンとみかんとお菓子をたらふく食べさせられ、腹も膨れた頃ようやく煮付けの下ごしらえに取り掛かかる事になった。
以前何かのテレビで見た、魚の鱗は親指の爪を押し付けるようにして滑らすと、包丁を使うよりも鱗が綺麗に取れるという豆知識を披露しようと台所の片隅で待機していたが、いつものように「太郎は向こうで新聞でも見てなさい」と仲間はずれにされてしまい、ドヤ顔で巧の技を披露する事はできなかった(涙)
ほどなくして黒鯛の煮付けが完成し美味しく食べたが、最近食が細くなった祖母もピナちゃんがいるとパクパクと食べるので、祖母に元気を与えてくれるピナちゃんにはどんなに感謝してもしきれない。
食後のケーキを食べ終わり、公文や仕事の打ち合わせの時間まで余裕があったので少しのんびりして帰ろうと思い、ピナちゃんと祖母が話をしている間に庭の落ち葉を掃除しようと立ち上がると、ピナちゃんはカバンの中から公文の宿題のプリントを数枚取り出した。
昨晩、机に向かっているピナちゃんを目撃していたので宿題は終わらせていたと思っていたが、国語の問題をスラスラ解く所を祖母に見せようと思い宿題を半分しか終わらせず、残りを持ってきたピナちゃんの考えが手に取るように分かり、可愛らしくてにやけて仕方がなかった。
文章を音読するピナちゃんをニコニコしながら祖母は見ていて、時折「ピナちゃんは賢いねぇ」と感心する姿が微笑ましく、これは是非ともピナちゃんの雄姿を私も近くで見学しなければと、急いで庭の掃除を終わらせて部屋へ戻ると、宿題に初めて見る表現方法が多数出てきていて、ピナちゃんの思惑ははずれ苦戦していた(汗)
ピナちゃんが考え込むと祖母も手助けしようとプリントを確認するが、「字が小さくて見えないねぇ(´・ω・`)」と、眼鏡をかけたり目薬を差したりして頑張っていたが、どうしても見えなくて教えてあげる事ができずにしょんぼりとしているのである(涙)
しかし分からない箇所を声に出す事で字が見えない問題を克服し、祖母とピナちゃんは二人三脚で宿題をこなし、無事に宿題を全て終える事ができた。
祖母は帰り際、「また宿題で分からない所があったら、婆ちゃんが教えてあげるからね」とピナちゃんに話していたので、これは祖母の認知症の予防にもなるのではないかと思い、機会があればまたお願いしようと思う。
ピナちゃんも次こそは祖母に良い所を見せようと思っているのか、先ほどからキリリとした顔で宿題に取り掛かっていて、お互いに良い影響を及ぼしている気がするのである。