この記事は家を借りたいフィリピーナに出された条件の続きです。
カティと部屋の契約を済ませた数日後、ピナちゃんにお願いして写真でしか部屋を見ていなかったカティを内見に連れていってもらった。
車で連れていってもよかったが、車を運転しないカティが現地の交通機関を把握する必要がある。
そこで以前私が現地の部屋で趣味のリフォームを行っていた頃、リフォームを手伝いたい(遊びたい)ピナちゃんは、公文や家事が終わってから一人でマンションへ行けるように、バスや電車の乗り換えを覚えて時々ヒョッコリと訪ねてきていたので、マンションまでの道のりを把握しているピナちゃんが内見係に抜擢されたのである。
オフィスでピナちゃん達が迷子にならないかソワソワしながら到着の連絡を待っていると、興奮した様子でピナちゃんから電話がかかってきた。
ピ「カティすごく喜んでマス(*´Д`*)オォーイ♪」
カ「本当にいいの?太郎ありがとう!」
気に入ってくれてなによりである。
入居の日取りや引っ越しの予定などを決めないといけないので、隅々まで見て満足したらオフィスへ来るように伝え、それから数時間して二人はオフィスへやってきた。
ドアを開けるとカティは手を体の後ろへ回し、ピナちゃんと二人で「エッエッエッ(´∀`*)」と不敵な笑みを浮かべている。
虫でも捕まえて驚かせようとしているのかと警戒していると、「ドウゾ(´∀`*)」と袋を差し出した。
カティは今回のお礼にとプレゼントを用意してくれていた(驚)
これから夏本番を迎えようとしているのに、どうしてネックウォーマーを選択したのかは謎であるが、カティの気遣いからも成長が読み取れて嬉しくなり、涼しい夜には浜崎あゆみを彷彿とさせるネックウォーマーを付けて眠ろうと思った。
オフィスでは水道やガス・電気の自動引き落とし契約の仕方や、住民票の移動、金融機関への住所変更届け等、引っ越しで必要な手続きを伝え、引っ越しの業者に相見積もりを取らせるので都合の良い日時を確認した。
カティは「持ち物は布団と服くらいしか無いので電車で持って行こうと思う」と無謀な事を言うので、軽トラックを借りて運んであげる事にしたのである。
徹底したおもてなしぶりにカティは何度もお礼を言っていたが、軽トラ好きなのに軽トラを所有していない私からすれば借りる口実ができて嬉しい。
引っ越しまでの数日間の間、カティにリサイクルショップを営んでいる友人を紹介し、仕入れ値に限りなく近い価格で必要な家電を譲ってもらい着々と準備は進んでいった。
しかし一つ問題があって、カティはこれまで畳の上に布団を敷いて寝ていたのだが、引っ越し先の部屋はパナソニックのアーキスペックフローリング(ホワイトーク)を貼りたかったが、売却予定だしそんなに高い物を使うわけにはいかないので、似たような感じの安いクッションフロアを貼った洋室なため布団を床に敷いて寝るには固い。
どうしたものかと考えた結果、入居者思いの大家さんである私は顧客満足度向上のために、部屋のイメージにピッタリな、安い収納付きのベッドをサプライズプレゼントする事にした。
本当のところは外国人向けに家具家電付きの部屋を高い家賃で用意しようとしていた所、知り合いの不動産屋に連れられ部屋を内見にきたダンディなオジ様が、浮気用なのかセカンドハウスとして借りたいと言い始め、家賃も値引かなくてよいと言うので貸し出し搬入する予定だったベッドが余ってしまい困っていたのである(汗)
こりゃWin-Winやないの!と倉庫からベッドを送り、ピナちゃんに荷物を受け取ってもらった。
※特徴的な部屋なのでモザイク処理をしています。
ベッドを受け取ったピナちゃんは手柄を立てようと、おやつを食べた後で組み立てを試みたのだが、「☆ボンドは約10分ほどで固まり始めます!!」という、失敗は許されない注意書きが目に飛び込んできた。
そして「ポンド?何だって」と、ボンドを理解していない危険なメッセージを送ってきて、慌てて止めようとしたが先走って組み立てはじめていたので、急いで組み立てるよう伝えると数分で一つの棚を完成させた。
何なのこの変な才能?
引っ越し当日の朝、マンションの前で待ち合わせをして「サプラ~イズ(*´Д`*)」の掛け声と共に、ベッドのある部屋へ入ると「アーイッ・・・アーイッΣ(゚д゚;)!!」と、フィリピーナらしいリアクションで喜んでくれて大満足であった(笑)
その後、カティが部屋で配達をお願いしていた家電を受け取っている間に、私とピナちゃんはカティの住んでいたアパートへ向かった。
アパートでは同居人のフィリピーナが待っていて、一緒に荷物を軽トラックへ乗せて引っ越しを手伝ってくれた。
カティと仲の良い同居人のフィリピーナは「カティはこのソファを気に入っていたからプレゼントする」と粋な計らいを見せた。
この心遣いに「これはカティが喜ぶぞ・・・」と思い、荷物を詰め込めば一回で済む所を驚かせるために二回に分けて運ぶ事にして、軽トラを返しに行く振りをしながら、こっそりソファを取りにいきピナちゃんと部屋へ運びこんだのである。
カティの視界に見慣れたソファが入ると、思い出深いソファなのか同居フィリピーナの優しさに心をうたれたのか、お礼を言いながら涙を浮かべていた。
なぜかピナちゃんも泣いていた(困惑)
部屋も片付き引っ越し祝いに何かご馳走をしようとしたが、カティは自分が払うと言い出したので、今から何かとお金が必要なカティにご馳走してもらうわけにもいかない。
レンジと炊飯器はあるがまだフライパン等はないので、ピナちゃんの強い要望もありスーパーでお米とお惣菜を買い、段ボールを机にしておにぎりパーティーが開催され引っ越しは無事に終わった。
一部の日本人から偏見の目に晒される事もあるだろうが、それは以前のカティのような無作法な振る舞いであったり、閉鎖的なフィリピン人コミュニティが作り出した負の遺産だと受け入れ、品行方正な生活態度で地域社会に溶け込む努力をしてほしい。
そうすれば元来のお年寄りに優しく陽気な性格も相まって国籍ではなく個人として見られるようになり、その数が増えればフィリピン人のイメージも向上するのではないかと思う。
新しい仕事を頑張ると何度も言っていたカティには、幸せな生活を送ってもらいたいと願っている。