ピナちゃんは車の運転が好きである。
車の運転といっても運転免許を取得していないので、時々遊びに行くゲームセンターでの話しである。
午前中ゲームセンターで遊んでいたのだが、ピナちゃんの運転は私が警察官であれば職務質問をするだろうな・・と考えるほど挙動不審なのだ。
お気に入りの車のゲームはマリオカートなのだが、何度挑戦しても真っ直ぐ走る事ができないうえに、加速・減速を繰り返し、その走りはまさに酒気帯び運転である。
「ピノキオ※1が簡単だよ。」と教えても、「太郎をチョイスするデス。」とドンキーコング※2を使う。
選んでくれた嬉しさと、でもゴリラだよな・・との思いが交錯し複雑な心境である。
※1初心者向けのキャラクターでハンドリングが優秀なキノコ。
※2上級者向けのキャラクターで最高速が早いゴリラ。
そんな危険運転のピナちゃんは毎回最下位であるが、周回遅れに気が付いていないようで、「次は勝つデスヨ( ・Д・)ナイスゲーム!!」とライバル視してくるが、満足そうなので良しとしている。
本日もピナちゃんにゴールド免許保持者の実力を見せつけてきたのだが、他の機械に目をやると、以前はブラックサンダー(お菓子)が入っていたドーム状の機械の中身がチロルチョコに変わっていた。
大量に積み上げられたチロルチョコの山を見つけたピナちゃん。
(゚д゚)・・・・トライ?
すごくやりたそうである。※ピナちゃんはチロルチョコが大好物。
アームで流れるチロルチョコをすくい上げ、チロルチョコの山の手前に落とす。
プルプルと揺れるチロルチョコの山。
プルプルプルプル・・ピタッ!
(‘A`)・・・・・
再び挑戦するも
プルプルプルプル・・ピタッ!
(‘A`)・・・・
プルプル揺れるものの一つも落ちないのである。
しかしジワジワと穴の方に寄ってはきている。
私「もう百円玉が無いから次でラストだよ。」
ピ「オポ(`・ω・´)」
ピナちゃん最後の挑戦に真剣である。
プルプルプルプル・・グラリグラリ・・
(゚Д゚≡゚д゚)アーイ!! ドロップにシテ-!!(訳:落ちてー)
・・・・・ピタ!!
(’A`|||)ダメデスネ・・
チロルチョコが取れないだけで、何故そんなに悲しそうな顔になるのだろうか・・
悲壮感漂うピナちゃんに負けて「チェンジしておいで」と千円札を手渡した。
大喜びで両替機に向かうピナちゃんを見送りながら、ポケットの中を確認すると百円玉があったので、試しに挑戦してみると
グラリグラリ・・・ガシャーン!!
あっけなく崩れ落ちるチロルチョコの山。総取りである。
百円玉を握り締めて帰ってきたピナちゃんが見た光景は、先ほどまであったチロルチョコの山が消え、荒野となっていた。
(’A`|||)ナクナタデス・・・(訳:無くなりました。)
私「ピナちゃん、下を見てごらん」
ゴソゴソ・・・・・Σ(゚д゚;)!!
(*´Д`*)アーイ!! アリガトポ!!
死にそうな表情から一変、私の体に飛びついて喜んでいる。
あまりの騒ぎように店員さんが大きな袋を手に駆け寄ってきたが、チロルチョコに気が付き申し訳なさそうに小さな袋をくれた。
嬉しそうなピナちゃんを見て、次回からチロルチョコはここで入手しようと決めたのである。