これまでピナちゃんは、食費の剰余金と私の余った小銭を横浜銀行で管理していたのだが、振り替えの勉強をする為、先日新たに私が法人で利用している銀行に口座を開設した。
これからは、食費の剰余金を横浜銀行、余った小銭を新しい銀行での管理となる。
分けるほどの金額ではないのだが、今まで銀行口座を作る事すら考えれない生活をしていたピナちゃんは、カードが増えただけで嬉しく、銀行を利用して何かを行う事に喜びを感じているのだ。
さっそく本日、振り替えの練習をする為に銀行へと足を運び、一人でトライしてみると言うので、私は行内で新聞でも読みながら待っておこうと椅子に腰掛けていた。
そこへ偶然、人事異動で私の担当を外れたNさんが通りかかった。
法人営業部はフロアが違うので会う事はないと思っていたが、長い間付き合った縁が引き寄せたのかもしれない。
私は自分で言うのも可笑しいが上客である。
別に金持ちなわけではなく、この銀行から数億円の借り入れを行っているからだ。
銀行からすれば私は鴨ネギなのだ。
「太郎、何をそんなに借金してんだ・・生活は大丈夫か?」と思われる方もいるだろう。
私は仕事でアパート経営もしているので、投資物件を購入する必要がある。
物件を購入するには、現金かローン(借金)となる。
現金で買うと次の物件を買うまでに時間が掛かり、キャッシュフローも悪くなるので、物件を買う時の自己資金は10%までと決めているのだ。
上記の理由から決して悪い借金ではないのだが、周りからは余り理解されなくて少し淋しい。
話が逸れたが鴨ネギの私は銀行へ行くと歓迎される。※鴨だから。
この日も珍しく銀行へ足を運んだ私に日頃会う機会の少ない支店長を呼んでくる事になった。
支店長とはゴルフコンペで顔を会わせる程度だが、下世話な話が多いのでなるべく関わりたくないが、融資の関係もあるので、誘われれば少しは話をしないといけない大人の事情がある。
いつの間にか内線が入ったのか、支店長と法人営業課の数名が降りてきた。
初対面の者は名刺を渡してくるが、完全にプライベートの私は手ぶらである。
このシュチュエーションはいつも気まずい。後日名刺を郵送するのも面倒なので空気を呼んでほしいものだ。
別室に案内するというので「妻も一緒だ」と伝えて待っていたが、振り替えに時間がかかっているのか姿が見えない。
何か困っているかもしれないとATMコーナーへ向かえにいくと、案の定ATMの前で悪戦苦闘しているピナちゃんがいた。
私「ピナちゃん、大丈夫?」
ピ「ハイ、ダイジ(((;゚Д゚))) !!・・・ゴ・ゴメンナサイ・・」
私「(´・ω・`)?」
ピ「悪い事シテマセン(’A`|||)ホントデス」
行員の姿を見て警備員がきたと思ったようである。
ピ「太郎、何か私ミステイクデスカ(’A`|||)」
私「大丈夫だよ(笑)あっちでお話しようだって。」
ピ「何でデスカ(’A`|||)?」
私「ほらNさんもいるでしょ、久しぶりに会ったから。」
N「こんにちは(´∀`)」
ピ「Σ(゚д゚;)コンニチハ、何してるデスカ?」
N「僕はここでお仕事をしてるんだよ」
ピ「あ、ソデスカ(*´Д`*)」
一通り挨拶を済ませて別室へ移動した。
暗証番号を入力して扉を開ける・・・・のだが、珍しい扉なのでピナちゃん、ガン見である。
行員も「見るな」とは言えず困惑している。
すかさず他の行員が体を入れ視界を遮っている内に暗証番号を入力した。
この流れるような動きは訓練されたものかもしれない。時々ガン見する輩がいるのだろうか?
ピナちゃんは銀行の内部へ入れて楽しそうである。
支店長が偉いとも知らず、自分の通帳を「見てクダサイ(´∀`*)」とパカリと開き、嬉しそうに見せている。
この口座には、私の余った小銭しか入金していないので、三千円しか入っていない。
見せられている支店長も反応に困っている。
だがピナちゃんの追撃は止まらない。
ピ「横浜バンクにもあるデスヨ( ・Д・)ディバリン」とても得意気である。
16人掛けのテーブルがおいてある部屋へ案内され、お茶を飲みながらの談笑が始まり、話題は物件を選ぶ時の基準の話になった。
支「太郎さんは、いつも物件の何を見て決めているんですか?」
私「いや、私が決めてる分けではなくて、私が絞り込んだ物件を最終的に決めるのは妻です。」
一同 Σ(゚д゚;)エェッ!?
もちろん嘘である。
付き合いの長いNさんは冗談だと分かっているようだが、他の者は「え?冗談なの?いや、ほんとか?」と戸惑いの表情を浮かべている。
支「奥様、本当ですか??」
ピ「ソデスヨ(`・ω・´)」
このフィリピーナ、空気が読めるのである。
私「ピナちゃん、次のアパートは決まったの?」
ピ「ソ、ソデスネ、30㎡1Rが12部屋デスRCダカラ、ヨイと思いマス(‘A`)」
※私と業者の会話を聞いて覚えた知識をフル活用。
一同 Σ(゚д゚;) ((フィリピン人だよな・・?))
まさか若いフィリピーナの口から、専門用語が出てくるとは思わなかっただろう。
ピナちゃんは不動産用語を何となく理解しはじめているのだ。
おそらくNさんが後でネタばらしをしていると思うが、ピナちゃんといると飽きる事がない。