外国人が日本で生活する中で、一番の問題は言葉の壁だろう。
ピナちゃんにとって私と交際を始めるまで日本語は未知の言語であった。
二人の共通言語は拙い英語であったが、フィリピンと日本の遠距離恋愛中に、近い将来、日本で生活をする事を決め、その日からピナちゃんの日本語の学習は始まった。
最初は国際電話(Telink)で、簡単な日本語のあいさつから始めたが、言語習得能力の高いフィリピーナには、日常会話を始めるまでにそれほど時間はかからなかった。
次第に国際電話より、ネットカフェからSkypeをした方が安いのではないかと考え、時間のある日は20ペソを握り締めて、ピナちゃんはネットカフェへと篭るようになる。
ちなみにピナちゃん御用達のネットカフェは当時、5分で1ペソであった。
1ペソ=2.35円なので、1時間30円と格安である。
しかし、それは日本での感覚であり、当時ピナちゃんの月給は数千円程度で、ギリギリの生活を送る中インターネットカフェ代を捻出するのは大変だったであろう。
1年と数ヶ月、仕事をしながらも空いた時間は日本語を勉強し続けたピナちゃんは、完璧ではないが私と日本語で意思の疎通ができるようになった。
来日してからは、ひらがな・カタカナを小学校1年生向けの教材を購入し覚え、現在は小学校2年生の漢字を勉強している。
だが最近ちょっとした問題が出てきた。
私や日本人の友達とはスムーズに会話ができるのだが、初対面の人と上手く話ができないのである。
何故だろうと不思議だったのだが、話が上手くできないのは私や友人に原因があった。
私や友人はピナちゃんの知っている単語やフレーズ、勉強の進捗状況を理解しているので、無意識のうちに、ピナちゃんの分かるであろう言葉を選び会話をしていたのである。
それに加えて、きれいな日本語を使うよう心がけていた事も仇となった。
日常生活における会話は、方言やフランクな会話にも慣れる必要があったのだ。
少し淋しいが、日本語の勉強において私の手から離れる日がきたのだ(´;ω;`)ウッ
私はピナちゃんの日本語能力を伸ばす為に、外部の手を借りる事にした。
最初は日本語学校に行かせようかとも思ったが、外国人の集まりよりも、日本人のコミュニティに身をおいたほうが良いのではないかと考え、
公文(くもん)を習う事にしたのである。
株式会社日本公文教育研究会(にほんくもんきょういくけんきゅうかい、Kumon Educational Japan Co., Ltd.)は、大阪府大阪市北区に本部を置く学習塾をフランチャイズ展開している株式会社である。1958年(昭和33年)に大阪数学研究会として設立した。
Wikipediaより引用
しかし公文は外国人を受け入れてくれるのだろうか?
子供が習っているイメージもあったので、成人している点も心配である。
公文の事務局へ電話してみると、外国人、さらに成人していても大丈夫だと回答を頂いた。
子供しか駄目だと思っていたが、0歳~社会人まで幅広いコースがあるらしい。
さらに近所の公文教室を紹介してもらい、見学のアポイントまでとってくれた。
そして本日が見学の日だったのである。
ピナちゃんは日本語を勉強できるだけでなく、日本人の友達ができるかもしれないとウキウキしているが、ピナちゃんの日本語レベルでは、小学校低学年のコースに配属される事だろう。
クラスメートは小学生である・・※公文では個々のレベルに合わせて教材を進めるようです。
訪れた教室では予想通り、先生を除いて大人は一人もいない。
一番の年長の生徒はおそらく小学校3年生くらいであろう。
小さな子供たちが真剣に勉強に取り組んでいる中、突如訪れたフィリピン人に視線が集まる。
しかし誰一人として、おそらく人生で初めて接するであろう外国人をからかったりしない。
できた少年達である。
10分程度、授業風景を見学し先生と今後の話をした。
英語も話せる優しそうな先生だったので、小心者のピナちゃんでも安心である。
あとはピナちゃんの気持ちを確認するだけだが、
確認する必要はないほど、楽しそうなのが顔に出ている。
教室を出ると、勉強を終えた子供達数名がピナちゃんを待っていた。
子「なに人なの?どこから来たの(☆゚∀゚)?」
ピ「フィリピンです(´∀`*)」
子「知らないなぁ(´・ω・`)お姉ちゃんも公文にくるの(☆゚∀゚)」
ピ「ハイ!くるデスヨ(´∀`*)」
子「漢字かけるの(☆゚∀゚)?英語話せるの(☆゚∀゚)?」
ピ「漢字勉強してマス。英語はできるデスヨ(*´Д`*)」
子「すげー.。゚+.(・∀・)゚+.゚」
ちびっ子達、フィリピーナに興味津々である!
そんな分けで土曜日に契約をして、来週からピナちゃんは公文へ通う事となった。
小さなクラスメートと共に勉学に励んでほしい。