先日モカガールズについての記事に熱を入れすぎたのか翌日に熱が出た。
高校生の時に熱を出して以来、実に十数年ぶりである。
就寝時に寒さが苦手なピナちゃんはエアコンを切るので、寝苦しい夜は涼を求めて私はエアコンの効いた涼しいリビングへ移動する。その時にフルチンのままエアコンの風を浴びながら眠ってしまった事による風邪。
スーパーで半額シールを見つけて衝動買いしてしまった弁当に入っていた貝から生臭さを感じたが、食べてしまった事による食あたり。
東京の物件を見ようと代々木公園近くをウロウロしていた事によるデング熱。
発熱の原因にはいくつか心当たりがあるのだが、何が決定打になったのかは分かっていない。
以前に営業の仕事をしていた時に、疲れから帯状疱疹になった事があるが、帯状疱疹と似た体に触れると痛みを感じるような症状も僅かながらあった事から何の病気だったのか謎は深まるばかりである。
朝、エアコンの寒さで目が覚め、ピナちゃんの待つベッドへ移動しようとした所、体に悪寒を感じた。
これは風邪か・・?とも思ったが、風邪ウィルスに負けるような軟弱な体ではない。
きっと気のせいだと思い立ち上がると、目眩がする。心なしか頭痛と吐き気も・・。
私の体は自分で思うよりも軟弱ボディだったのである。
さて、どうしたものか?
このまま寝室に戻ってはピナちゃんに病気を移してしまう可能性がある。
まずは私のいたリビングの空気を入れ替え、次にトイレで吐きたかったのだが、ノロウィルスのような嘔吐物から感染する病気だといけないので、オフィスへ移動する事にした。
ピナちゃんを起こさないようにこっそりと家を出てオフィスへ着いたが、目を覚ましたピナちゃんが私がいない事に驚いて電話をしてきた。鼻声になっている分けではなかったので「急ぎの仕事を忘れていたからオフィスにいる」と伝えて、何とか乗り切ったのである。
幸いな事に、ピナちゃんがオフィスに来た時に日課の昼寝が出来るようにと、ソファベッドを導入していたので、オフィスでも睡眠を取れる環境になっている。
6時間も眠れば私の細胞はウィルスを撃退するであろう。
『病は気から』という言葉があるように、病気を治すには気持ちが大切である。
これから数時間、謎のウィルスと戦うであろう私の細胞を鼓舞する為に、ウィルスに三角締めを決める細胞をイメージしつつ眠りについた。
再び目を覚ますと、頭痛・吐き気に加えて腹痛まで発症していた。
私の細胞は完敗したのである。
これは長い戦いになるかもわからんね。
私はピナちゃんに「sickだから、今日は家に帰りません」とメールを打った。
ピナちゃんが来日して初めての別居である。
ウィルスにリベンジする為、再度眠りにつこうとしていたのだが、オフィスのドアをガチャガチャする音が聞こえる。不動産屋でも来たのかもしれないが、居留守を使い無視をしておく事にした。
ガチャガチャ!! ガチャガチャ!!
ピンポーン♪ ピンポーン♪
粘るじゃないか・・車があるので居留守がばれているのかもしれない。
だが立ち上がるのも辛いので無視しておいた。
アエーイ・・ アエーイ・・・ アエーイ・・・
Σ(’A`|||)ピナちゃん!?
ヨロヨロと入り口へ向かうと、ガラスドアの向こうに号泣しているピナちゃんがいた。
ピ「タロウ、ダイジョブデスカ?・゚・(ノД`;)・゚・」
メールを見て急いで来たのか、寝巻きにノーブラである。
手に持ったエコバッグのチャックは開かれており、冷蔵庫の食材を詰め込んで来た事が伺える。
だが残念ながら、オフィスにキッチンは無い。
私「大丈夫だよ。でも病気がうつると心配だから家で待っててね。明日には帰るから」
ピ「ワタシ、ビョウキした事ないデス・゚・(ノД`;)・゚・ダイジョブ」
!!
一度も病気になった事がないなんて、そんな事はないと思うが過酷なスラム育ちである。本当の所はどうなのであろうか・・
こうなっては言う事を聞きそうにないし泣くほど心配してくれるので、ピナちゃんの優しさに甘える事にした。
(服から乳首が透けているので、心配で一人で帰らしたくない気持ちもあった。)
自宅に帰れば環境は良いのだが車を運転するのは辛いので、オフィスのソファベッドで看病される事になるのだが、フィリピン人女性の献身的な性格を再認識する事となる。※一部誤解による行動は除く。
まず服を脱がされ、全身をタオルで丁寧に拭かれた後、持ってきた服に着替えさせてくれる。
「これくらい自分で出来るよ」と言っても、「太郎は寝てて下サイ(´;ω;`)」と言われ、私の動きは制限される。
次にジュースを飲ませ、フルーツを食べさせ、冷たいタオルで頭を冷やしてくれる。
この間、頭痛や腹痛により顔をしかめると、ピナちゃんは心配になって半泣きのような顔になるので、痛がる事はできない。
その後、「コウスル日本人、病気治るディバ(´;ω;`)」そう言いながら玉ネギを鼻に押し当ててくる。
これは以前、フィリピンの風邪治療の迷信が非科学的であった為、日本にも風邪を引いたら長ネギを首に巻く迷信がある事と、それでは風邪は治らない事を教えた事があるのだが、来日間もないピナちゃんには色々と伝わりきれていなかったようで、このような事態になっている。
こうして私は顔の両サイドに玉ネギを置かれ、悪魔を召還する時の生贄のような格好で眠りについた。
ゴソゴソとする物音に目を覚ますと、ピナちゃんが雑炊を持っていた。
キッチンが無いのでわざわざ、家に作りに帰ったらしい。ピーナッツ号(自転車)で往復1時間の距離である。
お米を炊く時間が心配なので一度様子を見に戻って来たようなので、実に2時間掛けて雑炊を運んでくれたのだ。運んでいる途中に冷めたくなってしまっていたが、愛情のこもった雑炊が嬉しかった。
ちなみに近所にコンビニがあるのだが、その事には触れないでおいた。きっと追加の衣類やタオル等も必要だったのだろう。
その後も一晩中ピナちゃんは眠らずに、私の頭を冷やし汗を拭き続けた。
その結果、翌日には嘘のように病気は完治していた。
今回の件でピナちゃんの献身的な性格を再認識すると共に、さらに愛情が深まった。
すでに私の愛情タンクは飽和状態であったが、そこからさらに溢れ出たような感覚である。
少し前にフィリピンでは日本が東南アジア3ヶ国(フィリピン・ベトナム・インドネシア)のビザを免除するというニュースが話題となった。
日本では少子化対策の一環として移民の受け入れと、ビザの免除を議論していると報道されているが、先行して同様の政策を実施しているシンガポールでは出生率は回復していないので、少子化対策としてのビザ免除には懐疑的であるが、日本の少子高齢化における介護問題においてフィリピーナのビザが免除になれば、日本を助ける救世主になるのではないかと感じた。そんな一日であった。
病気がうつる事を心配していたピナちゃんだが、相変わらず元気である。たくましい・・。