ピナちゃんと私は時々回転寿司を食べに出かける。
来日したての頃はエビフライ巻きとカラアゲにしか興味を示さなかったのだが、回数を重ねるうちにエビ、イクラ、サーモンと食べれるネタが増えてきた。
回転寿司を食べに行くのも20回以上になるだろうか、先日ついにピナちゃんは禁断の寿司ネタ「トロ」に手を出す事になった。
それまでは色や形が好みではなかった為、トロは寿司のキングだと説明しても拒み続けていたのだが、サーモンを食べて美味しかった事から、いける!と思ったのだろうか?
その日はトロを勧めると「トライしてみるデス」と、大トロを食べる事を決心したようだ。
トロが乗っているお皿はゴージャスである。
ピナちゃんはそれまで食べていたエビやサーモンとは違う皿が気になるようだ。
ピ「もしかして、これは高いデスカ?」
私「大トロはキングだからね、高いよ!」
ピ「ソデスカ、ドキドキするデスネ」
パクッ!!
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
(((( ;゚д゚)))お・美味しいデス!!ビックリデス!!
大トロの美味しさに周りの人達が振り返るほど大騒ぎしている。
他のお客さんは「あ、フィリピン人が初めて寿司食べたのか」という微笑ましい表情で見つめているが、実はトロを食べた事がないだけで、この回転寿司屋にはよく来る。
ピ「ドウシマショ、もっと食べたいデスケドお腹が一杯デス(´;ω;`)」
トロの美味しさを知ったピナちゃんだったが、すでに他のネタをたらふく食べた後だったので満腹中枢が刺激されまくっていたのだ。
その日は追加の注文は諦めお会計を済ませてたのだが、帰りの車の中はトロの話題で持ちきりであった。
そして昨晩、友人K夫婦と一緒にいつもの回転寿司屋へ食事をしに出かけた。
友人の奥さんYちゃんはピナちゃんより3つ年上で、いつもピナちゃんを可愛がってくれるので、ピナちゃんはYちゃんの事が好きである。
大好きなYちゃんと久しぶりに会えて、テンションの上がっているピナちゃんは、トロは寿司のキングだと熱心に説明しているが、ほとんどの日本人はトロの味を知っているだろう。
Yちゃんもトロが好きな事が分かり、ピナちゃんも嬉しそうである。
Y「トロを一皿お願いします」
ピ「Σ(゚д゚;) イイデスネ!まだ食べてなかったデスカ?」
Y (´・ω・`)?
K (´・ω・`)?
私 (´・ω・`)?
ピ「私も食べたいデス・・(´・ω・`)」
Y「ピナちゃんも注文したら?」
ピ「もう今年食べマシタ、もう食べる駄目デス(´・ω・`)」
この意味不明な発言は、先日初めてトロを食べた帰りの車で、「トロは貴重な部位だから30歳を越えるまでは1年に1度しか食べれないと法律で決まっている」という話をしたのだが、純粋なピナちゃんは信じていたようだ。
この法律の話をK夫婦に話をすると、状況を察したようで話を合わせてくれた。
K「ピナちゃん、この法律は前借りができるんだよ」
ピ「前借り(´・ω・`)?」
K「来年の分のトロを食べてもいいんだよ。」
ピ「ほんとデスカ(*´Д`*)ウヒー」
K「でも来年は食べれなくなるよ」
(’A`|||)ウーン・・クマリマシタネ・・ドウシマショ・・
その後ピナちゃんは、トロを5年分前借りした。