時間の経過は早いもので、フィリピン人妻のピナちゃんとの結婚を機に始めたブログも、気が付けば今月で6年目を迎えていた。
ブログの初投稿となるフィリピン人と結婚した感想を書いた時は新婚で、改めて当時のことを考えると恋人の延長のような関係であり、フィリピン人女性との結婚を分かった気になっていたけれど、暗中模索しながらも勢いと愛情を頼りに二人の将来を切り開こうとしていた気がする。
私達の前に立ちはだかる壁も結婚生活以前の問題で、どうすれば家族や友人といった周囲の人達に受け入れてもらえるかが主な問題だった。
あまりにも結婚を反対されるので何度も悔しい思いをしたし、ピナちゃんにも悲しい思いをさせてしまった。
けれど心無い言葉に反発する気持ちがある一方で、心の片隅には「騙されていて、いつか後悔するのだろうか?」と、ピナちゃんを疑う気持ちも少なからずあった。
それは多く日本人がフィリピン人女性に持っているだろうイメージを私も持っていて、それに加えてフィリピン人女性に騙された方や、友人のフィリピーナからも「騙されないように」と忠告を受けていたからである。
それでも国際結婚に踏み切りフィリピン人女性を信じたのは、ピナちゃんから惜しみなく注がれた愛情のお陰だろう。
「騙されていてもいい」と思えるほど、ピナちゃんと過ごす時間は幸せだし楽しかったのである。
ピナちゃんの優しい人柄もあって次第に受け入れられて周囲との壁はなくなったが、次に私達の課題となったのはフィリピン人女性が日本での暮らしに順応することだった。
来日するまで異なる環境や文化の中で育った外国人女性との結婚は、愛情や勢いだけでは解決できない問題が次から次へと出てくる。
言葉の問題はもちろんだが、生活に直結する買い物の仕方や公共交通機関の利用方法、様々な施設での手続きなど、当然だけどピナちゃんが一人ではできない事が多すぎるのである。
全て私がピナちゃんの代わりにする事は可能だけど、日本で暮らすことを選んだピナちゃんの将来を考えると、同年代の日本人女性のようにとまでは高望みをしないが、最終的には私が死んだとしても一人で生活できるレベルにはなってほしい。
その為には大変だろうけど、多くの知らないことを学ぶしかない。
フィリピンと接点のない方は驚かれるかもしれないが、日本では知っていて当然なことも知らなかったりする。
教育環境が整っていないフィリピンで、その中でも貧しい暮らしをしていたピナちゃんは、知識の少なさが顕著にあらわれた。
他にも算数は足し算・引き算レベルで、掛け算は来日してから九九を覚えた。
優先順位を決めて日本語、買い物の仕方、自転車の乗り方、バスの乗り方と、一つ一つできない事を学び覚えることでピナちゃんは世界を広げた。
この作業は日本が大好きで、日本の習慣を受け入れようとする気持ちのあるピナちゃんでも大変だったと思う。
この頃になるとフィリピンの家族から要求されるお金の問題も発生して、板挟み状態のピナちゃんは投げやりになる事もあったが、「太郎は私の将来を考えてくれている」と私を信じて学ぶことを継続してくれた。
そのお陰か今ではピナちゃんは一人で多くのことができるようになり、日本人の中に一人で混じって遊ぶことも増えて、当初心配していた日本での暮らしは楽しそうである。
私は結婚当時から「二人の結婚生活をより良いものにしよう」と思う気持ちと、「ピナちゃんを幸せにしてやるぜ!」との想いがあった。
だけど時間の経過と共に、幸せにされているのは私だと気が付いた。
昨年、祖父母が体調を崩して看病に奔走して私が疲れ切っていた時も、私はピナちゃんに負担をかけたくないと秘密にしていたのだけど、祖父母の体調不良に気が付いたピナちゃんは孫の私以上に祖父母の面倒を見てくれた。
先日から入院している祖母の看病も良くしてくれている。
祖母の下の世話なんてしたくはないだろうと、私がトイレに間に合わなくて小便を漏らした下着を洗ったり、オムツを使う時は履かせたりしていたが、「こういうのは女同士がいいデス(・∀・)」と嫌な顔一つせず率先して面倒を見てくれている。
逆の立場でピナちゃんの祖父が健在だとして、私はピナちゃんのように躊躇なくおむつを交換したりできるだろうか?と考えると間違いなくできない。
ピナちゃんは慣れない日本での暮らしの中で、全然肩こりはないけどマッサージをしてくれたり、料理を作ってくれたり、仕事を手伝ってくれたりと、私を幸せにしようと精一杯頑張っている。
そんな姿を長い間見ていると、結婚する前に「騙されて後悔するのではないか?」と思っていた僅かな気持ちは消え去り、ピナちゃんと出会い結婚ができて良かったと思うのである。
育った国で国民性というものは確かに存在するが、結局は個人の性格や考え方は十人十色なので、国際結婚は相手を理解することが大切なのだと思う。
近い将来には子供を作ってピナちゃんがお母さんになった時は、また新しい問題が生まれるのだろうけど、二人でうまいこと乗り越えていきたい。
ピナちゃんに捨てられましたポ、なんてタイトルでブログを更新する日がこないように、頑張ろうと思っております(汗)