パニック障害を知ったきっかけ

ピナちゃんの様子を見て、鈍感な私がパニック障害だと思ったのには理由があった。

私とピナちゃんが結婚をした時に、陰で私達の結婚を馬鹿にしていた友人に腹を立て殴り合いの喧嘩をしてくれた幼馴染の親友がいて、その幼馴染が2年前にパニック障害になったからである。

 

幼馴染と共通の友人から「連絡が取れなくなっている」と聞き、幼馴染に電話をした時には、人と会う事も電話をする事も出来なくなり車にも乗れなくなっていて、一人で家の外へ出ると発作(死を覚悟するほどの恐怖感が襲ってくる)がおこり自営なのに仕事ができる状態ではなかった。

幸いにも幼馴染は私を含めた数名の友人とは電話をしたり会ったりする事ができたので、調子が良いという日には会いに行ったり家の近所の公園へ出かけて話をしていたが、何をきっかけかは分からないが私達と一緒にいる時でも突然発作が出て、幼馴染が震えながら私の手を握り号泣している姿を幾度となく目の当たりにしてしまい、何をしてあげれば良いのか分からず狼狽えていた。

 

外へ出られなくなった幼馴染にとっては電車で病院へ行くのも勇気のいる行動で、運転免許を持っていない奥様に頼まれて手の空いている者が幼馴染と奥様を連れて病院へ送り迎えをするようになった。

そこで初めてパニック障害という病名を聞いたのだが、当初はパニック障害の事を説明されても、一時的に精神が弱っているだけですぐに回復するだろうと軽く考えていて、無知とは恐ろしいもので気合でどうこうできる病気ではないのに、「こんな病気は気合が大事だ」と励ますつもりが、実は酷い言葉を投げかけたのではないかと後悔もしている。

 

幼馴染の状態に気が付いて2ヵ月も過ぎた頃、従業員にまかせっきりで一向に仕事へ復帰する気配のない状態に、ローテーションで送り迎えをしている友人達と「会社の資金繰りは大丈夫なのかな?」と、余計なお世話だが心配になり、同業種の友人に取引先にそれとなく話を聞いてもらうと、「連絡もとれないし請求書がこないので支払いができない」と言われたようで、慌てて連絡をしてきたのである(衝撃)

これは何とかしないと幼馴染を始め、奥様や子供が路頭に迷う事になるぞと、2名の友人達と共にクラウド会計ソフトやオンライン決済を導入して外へ出る機会を極力減らし、同業の友人の会社から社員を出向させたり勝手に業務を効率化して、幼馴染の負担を減らし何とか事業が継続できる環境を整えた。

 

パニック障害は風邪の様に数日安静にすれば治る病気ではないと私達も気が付いて、各自が書籍やネットで勉強し、カフェインレスのハーブティーが良いと知れば持っていったり、ニンニク玉ゴールドが良いと聞けばお試しセットを注文してみたり、運動すれば良いと分かれば通販で購入して使わなくなった踏み台昇降運動器やエアロバイクをプレゼントしていた。

中でも効果があったのが発作が起こった時の呼吸法で、発作が起こり恐怖感が襲ってくると思った時に、息をゆっくり吸ってゆっくり吐く(3秒・4秒)という単純なものだが、この方法と薬で不安を感じても発作が出る機会が少なくなると、それまで入れなかった飲食店で食事ができるようになり、トイレのドアも閉めて用が足せるようになった。注:当事者が一人でこの呼吸法をすると、無意識のうちに呼吸が早くなっているので、隣でカウントしてあげると効果的です。

 

それでも個室やデパートの上階では未だに予期不安に襲われるし、薬をやめるのが不安だと言っているし、何度も病院を変えたり漢方を飲んでみたりと、二年経った今でも試行錯誤する日々が続いているが、従業員や何度も顔を合わせた人とは普通に話せるようになり、当時の事を思えば幼馴染の状態はかなり良くなってきているのである。

こんな事もあり、ピナちゃんの言葉を聞いた時にピンときた次第です。

 

つづく

 

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