フィリピーナの大好きなお中元文化

日本のお中元文化がピナちゃんは好きである。
普段は買わない高そうなハムや肉を食べる事ができるので、食いしん坊にはたまらないイベントだろう。

サラリーマンをしていた時は勤めていた会社の社長に贈るだけで、私が個人的に誰かとお中元のやり取りをする事はなかったが、時々社長からお裾分けを頂き、社長のように多くの人達から贈り物を貰えると楽しそうだなと思っていた。

独立して私も徐々に色々な会社と付き合いも生まれて、年々お中元やお歳暮をやり取りする件数も増えてきて気が付いた事がある。 

贈り物を頂いた数だけお礼をしなければならないのである。
経費とはいえ中々の出費となってしまうが、だからといってお中元が面倒だとか嫌いな分けではない。

少し疎遠になっている方でも私のような者との縁を切らずにおいてくれるのは大変ありがたいし、贈り物を選んだり反応を見たりするのは好きなので、あまり情報を知らない相手でも勝手に人物像を作り上げて好きそうな商品を時間をかけて選ぶ。

そんな中でも特に楽しいのは気心の知れた方々へのお中元を選ぶ事である。
同年代で普段からオフィスに出入りしている、不動産屋や税理士、行政書士などは仕事だけでなく友人関係に発展しているので品物を選ぶにしても熱が入ってしまう。

目上の方には礼儀もありデパートで相応の品を選ぶようにしているが、私が親のように慕い尊敬している不動産会社の社長は例外である。

会社とは全く関係の無い私に投資のノウハウを教えてくれたばかりか、旅行や食事に誘ってくれて家族ぐるみで可愛がっていただき足を向けて寝れない方だが、会社ではワンマンで恐れられている反面、実は奥様には頭が上がらなかったり、意外と人の発言を気にしたりとお茶目な一面を持ち合わせている。

奥様もとても良くしてくれて手料理をご馳走してくれたりするので、すっかり餌付けされた私は二人の仲を取り持つため、キャバクラ好きな社長の夜遊び頻度を減らすため、数年前に桐の箱に入ったオ○ホールをお中元で送ってみた。

後で「何て物を送ってくるんだ!」と怒られたが、満更でもなさそうな顔で少し嬉しそうにしているので、使用頻度にもよるだろうが耐用期間は半年程度だと過程して毎回新しい物を送っている。

お中元文化を楽しむ中で一つだけ骨の折れる問題があり、仕事上の付き合いだけのあまり深くない関係だと、私のゴリラフェイスを見て勝手に酒好きだと勘違いしてしまう方が一定数いらっしゃり、毎年ビールや日本酒を送ってくれるのだ。

私達夫婦は酒はあまり好きではなくお茶や珈琲の方がありがたいのだが、一度保険屋さんが「お酒は好きですか?」と聞いてきた事があり、何も考えず正直に「好きではないです」と返答すると、焦った顔をして手に持っていた紙袋を隠しているのを目撃してしまい「何してるの?」と聞いた所、「お酒が好きだと思い日本酒を持ってきてしまいました」と謝られてしまい、「本当は好きですよ」と言い直したが、すでに手遅れで後日別の品を持ってきてもらった体験から、気の弱い私は申し訳ない気持ちを忘れる事ができず酒は好きではないと言い出せないのである。

ただ飲めない分けではないので日頃は断続的に飲み進め、友人が遊びにくればここぞとばかりに酒を振舞おうとするが、友人も酒が好きではない者が多く、半年かけて消費しては再び新しい酒が贈られてくる堂々巡りの状態になっている。

しかし30代にもなれば多少は酒を嗜む事も必要なのではないかという気持ちも芽生えてきているので、今後もチビチビと飲み続け酒の味の判る男になりたいと思う次第である。

今年もありがたい事にオフィスや自宅にお中元を送っていただき、開封作業係りのピナちゃんが好みの品を見つける度に、喜びのダンスやコメントをしてくるので開封作業は難航するが、嬉しそうなピナちゃんを見ると思わず笑みがこぼれてくる。

開封作業を続ける中で送り状の宛名が私や会社名ではなく、ピナ山ピナと書かれた物をピナちゃんが見つけた。

ピ「アイッ!?」

私「どうしたの?」

ピ「コレ・・私のお名前が書いてありマス(((( ;゚д゚)))」

私「ピナちゃんがいつも頑張ってるからお中元が来たんじゃない?」

送り主はグレート・ムタとなっているが、ピナちゃんにもお中元文化を体験してもらおうと、私が密かにピナちゃん宛てに送った鮭と銀ダラの西京味噌漬けセットである。

初めてのお中元にどんな反応をするのか楽しみにしていたが、箱を開けてパックに入った魚の切り身を確認したピナちゃんは箱を抱えて泣いてしまった。

。・゚・(ノД`)アリガトポ!アリガトポ!

もうバレてる・・(困惑)

まさか自分にお中元が送られてくるとは夢にも思っておらず、縁が無いと思っていたお中元文化を経験できた事がとても嬉しかったようで、その日から毎晩一切れずつサイドメニューとして食卓に並べられたが、もったいないのかチビチビ食べるので大半を私に食べられてしまった。そこは弱肉強食の世界である。

フィリピーナの心を掴む

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